LA - テニス

07-08 携帯短編
77ページ/80ページ


いや、確かに向日さんは変な人です。
それは以前から知ってはいました。
変なのを承知の上でダブルスも組みました。
ですが…今、少し後悔しています。

「……な、何ですか?」

廊下に置いてあった台。
わざわざ花瓶を退けてまで登って…
そこから何をするつもりなのか、
皆目検討もつかずにいるのですが。

「向日さん…?」
「我、毘沙門なりー!」
「は、はい?」
「我、毘沙門なりー!!」
「び、毘沙門?」
「我、毘沙門なりー!!!」

何かの影響でしょうか。
延々と同じ台詞を吐いていらっしゃいます。
しかも…誰もが遠巻きになって来ました。
俺も…出来れば傍から離れたいです。

「日吉…」
「な、何です…?」
「まさかお前も知らねえのか?」

え?な、何を知らない、と?
毘沙門天くらい俺だって知っていますが…

「くそくそキノコめ!」

その辺を弁解しようかと思ったら、
向日さんは何故か涙目で去って行きました。

以前から理解不能な人だとは思っていました。
だけど、更に一層、分からない人になりました。


(日吉編)
次へ / 戻る
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ