LA - テニス

07-08 携帯短編
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俺は未だ、彼女のことを理解しきれんでおった。


「君のハートにレボリューション!」
「……はあ」
「今、めちゃくちゃハマってんの!ねえ良くない?」

これや、これ。あんまりにも突拍子の無いお言葉。当然やけど反応出来ひんやろ。
ちゅうか何やねん、その訳分からんそのキメ台詞みたいなのん。そして何やねん、その誇らしげなポーズ。
至上最強に意味分からん。ええか悪いか以前に全く以って意味分からんのやけど。

「いや…」
「ネタ自体はそんな面白くないんだよ、でも好きなんだよね」
「……(俺以外の人間に好きとか、禁句やろソレ)」
「あーでも絶対来年にはいないね。私が応援した芸人さんは大体そうだし」
「げ、芸人の話しよったんかいな!」

そうならそうて先に言うとけって突っ込みしたら…褒められた。さすが関西人やて。それ関係あれへんやろーに。
何ちゅうか俺の彼女はホンマに人とテンポズレとんのな。いや、それがまたかわええんやけど…
こないだはこないだであの跡部に向かって「赤貝、巻貝、ナイスガイ!」てネタやらせよ思うたらしく直談判しよった。
あの跡部にやで?こっちの心臓がいくつあっても足りひんやろが、て話で。てか…俺が殺られてまう。
「(勝つのはコール+指鳴らし)…俺だ!」と「俺様の美技に酔いな」で笑うとけ言うたったわ。あー懐かし。

「というか…さっきのネタで大体分かるでしょ」
「分からんが。どうせマニアックなの見つけて来たんやろーに」
「マニアックちゃうし!メジャーだよメジャー!」

いやそらない。絶対ないわ。ほんまにマニアックやさかいな。
あーアレはいつやったやろ。俺が告白する前の話や。
「気になる男とかおれへんの?」て心臓ばくばくさせながら俺が聞きよるんにコイツと来たら、
「ほんこんさんが今どうしてるか気になる。あ、でも…鉄拳の行方も気になるし…てかヒロシ何処行ったんだろ…」
とか、ホンマにどうでもええ芸人の名前ばっか挙げよったんやで。おかしいやろ。普通に勘ぐれやて話やろ。
……そんくらい変わった子で、理解出来ひん子なんや。

「今日だってテレビ出るんだよ!凄くない?」
「……ああ凄いな(出えへんかったら普通に凡人に戻ってまうやろがて話やん)」
「でしょ!今日は猛ダッシュで帰るんだから!」
「ちょお待ち!今日は俺ん家に――…」

泊まる、て約束、したやんな?口実作ったて笑顔で言うとったやん!
そう言いたかってんけど…ごっつ睨んで俺見よるさかい、言えへんあたり…どうなん俺。彼氏、なんやけど…

「……侑士」
「……はい」
「私の楽しみ、盗るつもりなの?」


――盗りません。ほんま、こめんなさい。
俺がそう言うたらヨシヨシて頭撫でてくれたんやけど…全然嬉しない。彼氏<芸人てどないなん。
悲しい現実やけど、こないな子が俺の彼女で、やっぱかわええんです。


(侑士編)
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