陰陽師

□「裂」(博雅×晴明×道尊)
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クァー

クァー


道尊「くはははは!
晴明!お前と博雅との間を
引き裂く手立てを
ついに見付けたぞー!」

クァー!

クァー!

バサバサと鴉が羽ばたきながら
道尊の肩に乗る

道尊「おぉ、うぬもそう思うか
そうか、そうか」


薄暗い洞穴で
一人でまた何やら企む道尊


─────────────

博雅「大変だ!大変だっ!」


ドタバタと慌てた様子で
牛車にも乗らず
一条戻り橋を駆け抜ける博雅


晴明「騒がしくなってきたな
・・・博雅」


博雅は晴明の屋敷に
走り込んで来た


博雅「ハァハァ、ゲホゲホ、ハァハァ
晴明、話が・・・ハァハァあるのだ」

晴明「まずは一献、
いかがですかな?」

博雅「ああ、済まぬ」

博雅は杯を手に取り
一口で酒を飲み込む

晴明「ささ、も一杯」

博雅「ああ、済まぬ
っていや、酒よりも
まずは聞いてくれ晴明」

晴明「ああ、聞こう」

博雅「望月の君から
今宵、笛の音が聴きたいと
俺を誘って下さったのだ!
しかも初めての事」

晴明「お前と言う男は・・・
その姫君は、あの男の側室であろう」

博雅「またあの男などと、帝だ!」

晴明「行くのは止めておけ」

博雅「何故だ!」

晴明「お前が傷付くだけだ」

博雅「何か裏があるとでも言うのか?」

晴明「姫君には
呪がかけられておる」

博雅「シュ?
晴明!何かあれば
すぐに"呪"だ"呪"だと
疑い深いのも、どうかと思うぞ」

晴明「だがな博雅
これは真の事なのだ」

博雅「だとしても俺は行く
行かねばならん」

晴明「何故だ」

博雅「お前には分からん」

晴明「何?」

博雅「お前は誰かに
恋いに焦がれた事がないであろう
だからお前には
俺の想うところは分からんのだ!」

晴明「俺はお前を・・・」

博雅「何だ」

晴明「・・・いや」

博雅「もう良い!俺は行く」


晴明の説得も虚しく
博雅は屋敷を出て行こうとする


晴明「待て!博雅!行くな!
行ってはならん!」

晴明は二本の指をスッと立て
呪術を唱え博雅の背後にかざす
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