陰陽師

□「恋」(晴明×博雅)
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博雅「はぁ・・・」


相当に思い詰めている様子で
深く溜め息を漏らす博雅


魂が抜けた様に
口を半開きに呆然とした表情で
トボトボと歩いている。


博雅は無意識に
晴明の屋敷の門前に足を運んでいた。

ガラーンと門が勝手に開くと
そのまま庭に入ってゆく


蜜虫がニコリと出迎えるも


蜜虫「博雅様・・・・・・」


博雅は蜜虫の姿さえ目に入らず
前を横切って通り過ぎてゆく


蜜虫は不思議そうに
先へ行く博雅の後を
ちょこちょこと、ついてゆく


博雅は晴明を呼ぶ事もなく
ただ濡縁に腰を下ろす


晴明は部屋の奥で
筆を執っていた最中
手を止めて筆を置く

顔を上げ屏風から外を覗き見ると
博雅の何とも情け気な背中が
見えるのでした。


晴明「これは博雅様
天は晴れていると言うに
貴方様には、まるで生気がない」

博雅「はぁ・・・なんだ晴明か・・・」


晴明「なんだとは何だ博雅!
人の屋敷に来ておいて」


蜜虫「どうしたのだ?」


蜜虫は身体と首をくねりと曲げて
博雅の顔を覗き込む


博雅「はぁ・・・
どうしたも、こうしたもない」


晴明「さては、またフラれたか?」


博雅「何故分かるのだ?」


晴明「お前が落ち込む時は
十中八九、恋に惑わされている
蜜虫でも分かる、なぁ?」

博雅「え?蜜虫、そうなのか?」

蜜虫「フラれたか?」

博雅「なっ!」

晴明「ははははは」



博雅「はぁー。晴明も蜜虫も
他人事だと思って
気楽なものだ!」
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