LA - テニス
□07-08 PC短編
41ページ/50ページ
---音楽を鳴らす
詐欺師の戦略、策士の張った罠。
あれだけ恐れた視線の送り主が彼だと知ったら…
不思議と消えた、私の心に棲んだ恐怖心が。
か く れ ん ぼ
「ん…んぅッ」
視線のように降り続くキスに、酔わされた。
机の影に隠れた私たちに気付く人もいない。
これじゃ本当に"かくれんぼ"みたい。
「志月がいつ、気付くじゃろて思うとったぜよ」
合間合間に言葉を洩らしては、制服が徐々に乱れていく。
袖を抜かれたブレザーは背中に敷かれたまま、ネクタイは遠くへと放られた。
白いシャツは上から4、5段ボタンが外され、肩が露出している。
何だろう…何がどうなっているのかわからないのに、不思議と、嫌じゃない。
「気付くて思うちょったのに、全然気付んとは鈍感じゃな」
「に、仁王く…んぅ、あッ」
開かれたシャツ、押し上げられたブラから…
動く指が生々しくも膨らみに触れて、無意識に背中が浮く。
「やっ……やだ……」
「ヤなんか?そんなコトないじゃろ」
「んんッ」
仁王くんの舌が、コロコロと突起物を転がしていく。
左手は反対の胸を揉み、右手は私の口を押さえて…
しなやかな指が胸から腰、腰からお腹、お腹から腰、順応無人に動く。
手のひらにマメが出来ているのが、ハッキリとわかるくらいに押し付けられてる。
「やらしいのぅ」
這う手に、解放された。
だけど、私の上には食い入るように見つめる仁王くんの姿。
足は絡められ、一枚の布越しに体温が伝わる。
「俺のモンになってくれんじゃろか?」
「え?」
「俺が捕まえた、じゃろ?」
鬼が捕まえないから、俺が捕まえた。
逃げるなら、早う逃げた方がええじゃろな…
「欲しいんじゃ。ずっと……」
詐欺師には似合わない片想いを、してる。
不意に、泣きそうになった。
「…そんな顔、せんといて」
「ちが…ちょっと…嬉しくて…」
投げ掛けられた視線に込められた想い。
ずっと、気付けば感じていた視線の持つ意味。
今まで恐怖しかなかったけど、今は…愛おしさを感じる。
「好きになってくれて、ありがとう」
「…その言い方じゃと俺がフラれるみたいじゃのぅ」
「ええ?ちが――…」
否定の言葉は封じられ、熱い唇の感覚に目を閉じた。
温かい腕に包まれ、少しふわりと体は浮いていた。
こうして、かくれんぼの結末は、幕を閉じた。
◆Thank you for material offer 海龍
←