LA - テニス
□07-08 携帯短編
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忍足の彼女は…変わった方です。
「……はい?」
「だーかーら!」
彼女の説明を聞いても俺には納得が出来ません。本当に納得出来ないといいますか…したくないです。
忍足さんに頼んで跡部さんに「赤貝、巻貝、ナイスガイ!」というお笑いネタをやらせようとしましたが断られ、
同じ話を宍戸さんに持ち掛けたところ、やはり断られ(まあ当たり前ですね。殺されてしまいますよ)。
そこからどのように発展したら…こうなるのでしょう。
「ねえ、私に笑いを提供して!」
「いや…あの、ですね」
「3の倍数で馬鹿になって!」
……無理です。
3の倍数が分からないわけではありません。ですが、そんなことをするくらいだったら…倍数なんて知らなくていいです。
むしろ、そこで俺にバトンを回して来た宍戸さんに…少しだけですが殺意が芽生えました。あ、いや、芽生えません!
芽生えたりはしませんが…少しだけ恨ませてもらいます。3年の方で処理して頂きたかった、です。
「……あの」
「え?何、やってくれるの?」
「あ、いや…」
どう消化したらいいでしょうか。というか、この方は忍足さんの彼女でしたよね?
出来れば放し飼いではなくきちんとしたカタチで…ああ、いやいや、とりあえず忍足さんの傍に常に置いて頂けないかと…
いや、それもなかなか難しい、ですよね。はい。
「え?何…先輩の言うこと――…」
「こ、こんなのはどうでしょう!」
「へ?」
自分の身は、自分で守ります。
「運動神経抜群の向日さんと…」
「うんうん」
「無表情な日吉がいますよ、ね」
「うんうん」
自分以外の犠牲は、尊いものだと信じています。
「二人をコンビにすれば――…」
「体操選手と自衛隊ね!!」
「ナイス長太郎!」というお言葉を頂き、感無量です…
そして、彼女は何処を目指してか走り去って行きました。
多分…向日さんのとこか、日吉のとこだと思いますが…俺はその後は追えません。
(鳳編)
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