LA - テニス
□05-06 PC短編
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詐 欺 写 メ
「詐欺、じゃのぅ」
携帯画面と私の顔。
交互に見比べて男はそう言った。
「は?」
当然、意味はわからない。
私の顔を見て"詐欺、詐欺、詐欺…"なんて繰り返されて…
いきなり目の前に現れてきて、失礼なコト言わないでくれる?
詐欺=アンタじゃない、仁王雅治!!
「何のコトよ?」
「コレじゃ」
いきなり"コレじゃ"…ってねぇ。
携帯の裏側だけ見せられても意味わかんないでしょ?
手を伸ばしてクルリ。
携帯画面を見つめてみれば…
「…私の写メじゃないッ」
何でこんなモン…。
誰が撮ったかもわからないモンじゃないさ。
…ってコレ、この間のカラオケの時のモン?
祐希が面白がって歌っていた私を撮っていたけど…
何故に、仁王の手の中にあるわけ?
「ゆいはネットアイドルでも目指すんか?」
「目指さないわよッ」
よりによっての仁王の手の中ですよッ。
「消しなさいよ、今すぐッ」
「お断りじゃ」
あっさりそう言われて…
ホイホイ引き下がるわけがない。
「大体、どこから…」
「ブン太経由」
あのガムっ子め…
だけど、あのガムっ子もどっから…
「こん時、青学の女の子おったじゃろ?」
「……祐希を知ってるの?」
私の友達、笹川祐希。
青学での唯一の友達なんだけど…
別にテニス部は関係ないし、立海にも関係ないし…
「そん子は柳の従姉妹で彼女じゃ」
「はぁ〜ッ?」
そんな話聞いてませんよ?
むしろ、聞くこともありませんでしたよッ?
「祐希に柳…柳が首謀者かッ?」
思わぬところに穴?
そんな流通経路があってたまるかッ!!
「祐希…成敗してやるッ」
「別にいいじゃろ?」
「良くないデス。アンタも消すッ」
戦闘開始のゴング。
仁王が逃げ出さなかったら、確実に携帯は真っ二つ。
勢いよく手を伸ばしたモノの…
あっさりと避けられて伸ばした手は空を切る。
「寄越せッ、に……」
「一目惚れしたぜよ」
……はて?
「…ナントデスカ?」
「じゃけん…一目惚れ」
画面にいたのは私。
仁王はジッと見つめて…
「この写メの子じゃけどな」
パチンッと携帯を閉じた。
-詐欺写メ-