LA - テニス

05-06 PC短編
30ページ/48ページ


詐 欺 写 メ





「詐欺、じゃのぅ」


携帯画面と私の顔。

交互に見比べて男はそう言った。

「は?」

当然、意味はわからない。

私の顔を見て"詐欺、詐欺、詐欺…"なんて繰り返されて…

いきなり目の前に現れてきて、失礼なコト言わないでくれる?


詐欺=アンタじゃない、仁王雅治!!


「何のコトよ?」

「コレじゃ」

いきなり"コレじゃ"…ってねぇ。

携帯の裏側だけ見せられても意味わかんないでしょ?

手を伸ばしてクルリ。

携帯画面を見つめてみれば…


「…私の写メじゃないッ」


何でこんなモン…。

誰が撮ったかもわからないモンじゃないさ。


…ってコレ、この間のカラオケの時のモン?

祐希が面白がって歌っていた私を撮っていたけど…

何故に、仁王の手の中にあるわけ?


「ゆいはネットアイドルでも目指すんか?」

「目指さないわよッ」

よりによっての仁王の手の中ですよッ。

「消しなさいよ、今すぐッ」

「お断りじゃ」

あっさりそう言われて…

ホイホイ引き下がるわけがない。

「大体、どこから…」

「ブン太経由」

あのガムっ子め…

だけど、あのガムっ子もどっから…

「こん時、青学の女の子おったじゃろ?」

「……祐希を知ってるの?」

私の友達、笹川祐希。

青学での唯一の友達なんだけど…

別にテニス部は関係ないし、立海にも関係ないし…


「そん子は柳の従姉妹で彼女じゃ」


「はぁ〜ッ?」

そんな話聞いてませんよ?

むしろ、聞くこともありませんでしたよッ?

「祐希に柳…柳が首謀者かッ?」

思わぬところに穴?

そんな流通経路があってたまるかッ!!

「祐希…成敗してやるッ」

「別にいいじゃろ?」

「良くないデス。アンタも消すッ」

戦闘開始のゴング。

仁王が逃げ出さなかったら、確実に携帯は真っ二つ。

勢いよく手を伸ばしたモノの…

あっさりと避けられて伸ばした手は空を切る。

「寄越せッ、に……」


「一目惚れしたぜよ」


……はて?


「…ナントデスカ?」

「じゃけん…一目惚れ」

画面にいたのは私。

仁王はジッと見つめて…


「この写メの子じゃけどな」


パチンッと携帯を閉じた。



-詐欺写メ-
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ