LA - テニス

05-06 PC短編
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数日後、二ヶ月に渡る奇跡に終止符が打たれた。

それでも私たちの距離は大きく縮まり、離れたモノは今まで近かった席だけとなった。





悪戯 ・・・そして





「ゆい」

「侑士」


そう呼び合うまでに時間は掛からず、今まで以上に仲良くなった。


「今度、映画行かへん?」


学校外で会うことも増えた。

学校内で一緒に過ごす時間も増えた。


「…ラブロマンスでしょ?」

「あかんのかい」

「今度はホラー観ようよ」

「夜コワなんで?」


変わりないようで変わった関係。

そのなかで確かに良い方向へと進んでいる気がした。

お互いに…


「侑士がなるんでしょ?」


幸せ、なんて言ったら大袈裟かもしれない。

だけど、これまでにないモノを感じている。


「そういうコトにしたったるさかい、観に行こや」

「……」

「映画観た後、奢ったるから」


彼が悪戯好きなのは変わらない。


「ホント?」

「ゆいがココでチュウしてくれたらな」

「……」


私が相変わらずなのも。


「冗談やて…そんな睨まんどいてーな」


だけど…


「ん…ッ?」


少しずつ変わっていきたい。


「…これでいいんでしょ?」


今度は私の方から悪戯してやる。今までの分まで…


「…めっちゃ好きやで」


教室の角の席。

今度はそこが私の席で…


「はいはい」


休み時間に侑士が必ずやって来る場所になった。




-悪戯-
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