LA - テニス

05-06 PC短編
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眠っていた彼女の唇を奪った。


無意識に重ねた後、急に心臓が活発に動き出して…

それで起こしてしまうんじゃないか、

そう思えるくらいに高鳴っていた。


彼女は起きなかったけど…

今も残る熱。

閉じられたままの瞳。


もし、目を覚ましたなら…

俺が彼女だけの王子様になれたのかな?




眠り姫からのキス




いつも寝ている場所はバラバラ。

センセイの巡視に気を付けながらのお昼寝だから…

細心の注意を払ってるよ?


「ん…」


だけど…

どうして君は気づくんだろう?

どうして俺を見つけれるんだろう?


「…またこんなトコで寝てる」


女の子なのに、こんな場所で

しかも俺の横で寝てられるのかな?


目が覚めて、ふと目を開けると見える寝顔。

それはいつも同じ表情の彼女。

起きている時に話したことはない。

お互いが寝ている時だけ…

お互いの存在を確認するだけ。


「風邪、ひかないのかなぁ」


スカートから伸びた細い足。

少なくともその部分は外気に晒しているから…

きっと寒いと思う。

これから秋が終わって、冬に入って…

どんどん寒くなっちゃうのに平気なのかな?


「……」


いつから、俺の隣で眠るようになったのか…

それすら覚えていないくらいに自然な彼女の存在。

透明な存在。

いつからか…

本当に自然すぎて…

いないと不安にもなる。


「…どうしてココで眠るの?」


答えはもちろん返って来ない。

それはいつものコト。


「どうしてなのかな?」


疑問に思っても、

起きている現でも眠っている夢でも

声を聞くことはない。


「……」


気付けば…

眠っていた彼女の唇を奪ってた。


無意識に重ねた後、急に心臓が活発に動き出して…

それで起こしてしまうんじゃないか、

そう思えるくらいに高鳴っていた。


閉じられたままの瞳。

彼女は起きなかったけど…


「もし、目を覚ましたら…

俺が君だけの王子様になれたのかな?」


当然、答えはなく

着ていた制服を彼女に掛けて…


「またね?」


眠る彼女を置いて、その場を去った。



ジロちゃんシリーズ・1
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