LA - テニス

06-07 携帯短編
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……ヤバイ、抱き締めてもいいのか?
この場合はアレだ。俺は別に悪くねえって言い切れる。
それが例え警察沙汰とかになったとしても、絶対言い切れるだろ。

「跡部、メリクリー」

誰だ?誰がこんなの仕組みやがったんだ?
急に呼び出された生徒会室。居るはずだった教師はいねえ。
ただ、そこに居たのは…志月ゆいだった。



Cute



「な、何だその格好…」
「アレ?跡部聞いてないの?」
「聞くも何も俺は今から新学期にある生徒会選出の…」
「あーそれ嘘らしいよ」

……やっぱそうなのかよ!
樺地のヤツが伝えに来たから嘘とかねえと思ってたんだが。
コイツが此処にそんな格好で居た時点で察するものはあった。
絶対、そんな話し合いなんざねえってな。俺はそこまで馬鹿じゃねえ。
つーか…誰だ?誰がこんなことしやがったのは!
忍足か?向日か?宍戸か?ジロー…て全員でもおかしくねえ。
誰が仕掛けてもおかしくない事態に、俺はただただ驚くしか出来ない。

「今から此処はパーティ会場になるのです」
「……はあ?」
「ジロちゃんにおいでって言われたから来たんだけど…」

「時間早すぎたみたい」じゃねえよ!それ自体、騙されてる可能性大だ!
アイツら…手の込んだことしてくれるじゃねえか、アーン?
もう冬休み入っちまったからって安心してると奇襲受けることになるぜ?
いや…俺としては…まあ、感謝しないくもねえけど…ある意味腹が立つ!

「で、その格好…か?」
「そ。似合う?サンタコス」

……それは似合うとか似合わねえとかの問題じゃねえ。
どっかの店の店員か?バイトか?つーか、何だ?その背中に付いた小さい羽根は。
そういう仕様か?それとも自分で取り付けたのか?むしろ、その服を何処で…
色々と突っ込みどころ満載のくせに、それがその…可愛い、とか思わせんな!

「跡部ー?」
「に、似合ってねえよバーカ!」
「うわ、力いっぱい否定ですか!」

ヤバイ、完全にヤバイ。微妙な長さのスカートとか生足だとかムートンブーツだとか。
んなとこに目がいく。これが気付かれたら完全に変態扱いだ。
氷帝の変態は忍足だけで十分だっつーのに、この俺様まで変態扱いされたら…

「どうでもいいから着替えろ!」
「はあ?わざわざ着たのに?」
「いいから着替えろ!」

そうじゃねえと俺が落ち着かない。そうしないと…襲う。確実に。
一生懸命、自分で規制掛けてるとこなんだ察しろ。分かれ。
とは言っても…私服に着替えられた日にはまたヤバイ気もする。
数回しか見たことねえけど…アレはアレでヤバイ気がする。
チクショウ!こんな時、どうすりゃいいんだ?

「あーあ。ジャージに逆戻りか…」
「ジャージ!?」
「うん。後輩の練習に付き合ってたから」

おいおい…どんなだよ。勘弁してくれ。
ジャージで登校してサンタコスして、またジャージ着て帰るつもりだったのか?
そんな居た堪れない真似はしないでくれ。頼むから。

「……やっぱ着替えなくていい」
「はあ?」
「汗臭いジャージよりそっちがマシだろ!」

面倒臭がりで天然で、どちらかと言えば阿呆の部類に入るとは思ってたが、
思ってたことを撤回する。コイツ、やっぱ阿呆なんだな。いや、阿呆だ。
だってそうだろ?ジャージで此処まで来るとか有り得ねえんだよ!
お前の通学手段はバスだろ?イモジャ着てバスとか乗って来るなよ!

「……疲れた」
「いや、まだパーティ始まってないけど?」
「お前に疲れたんだよ!」

何とも言えない天然娘を目の前に、結構情けない様を晒してる俺。
コイツはいつも、こんな調子で俺を狂わせてることを知らないんだ。
何も気付かずに翻弄していくんだ、この俺様を。

「ねえ、まだみんな来ないのかな?」
「……知るかよ」

静かになった生徒会室に俺たちは二人っきり。
彼女は何も気に留めた様子もなく、適当に机を動かしてお菓子を並べる。
俺は一人で窓際まで移動して、溜め息なんざ吐きながら外を眺める。
雪は降ってない。雨も降ってない。晴天の空を見上げる。

「跡部、物思いに浸ってないで手伝って」
「……分かったよ」

これでアイツらが来なかった日には二人だけで過ごしてやる!
……なんて思ってたら、30分後、準備を整えたアイツらが何気に来た。
状況と空気と、俺の心を読め!と。



END
ちと子供っぽい跡部様で。ギャグ。


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