LA - テニス

06-07 携帯短編
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Re:不格好なチョコレート



正突然、頭上から雨ならぬ飴が降った。

バラバラバラ!と音を立てるモンだから教室中に響いて視線がイタイ。

「……もしかして嫌がらせ?」

「そう言われてもしゃーないな」

「嫌がらせ以外に理由は、ないわね?」

「ない、とも言わんけど半ば嫌がらせかのう」

手に持った袋をそのまま引っくり返して、私の頭にガンガン浴びせて…

これが嫌がらせでなかったら何になるというのでしょう。下手すりゃイジメですよ。

激しく痛いわけでもないけども、そこそこ頭を打った感覚があるところ脳細胞は減ったわ。

「で、何の嫌がらせ?」

「鈍いのう。バレンタインのお返しじゃ」

「……アンタ、今日が何日だか知ってる?」

「3月13日」

正解です。今日はホワイトデーの前日で、お返しすべき日は明日。

確かに私は前日にあげたけど、翌日きちんと…言えたと思う。

妙なカンジで何て言ったかも覚えていないけど…きちんと伝えたと思う。

その日、仁王は何も言わず笑ってて、その後は笑っちゃうくらい今まで通りで…

「お前も前日にくれたじゃろ」

「……確かに」

「だから俺も真似してみた」

"不恰好なのも真似した"なんてプラスしなくてもいいことなのに、わざと言いやがった。

ピキピキッと片頬だけ引きつり、心なしか腹立たしさも湧いてくる。

こんな色気もクソもない関係になりたくて、あの日頑張ったわけじゃない。

バレンタイン前前日から当日までの3日間は何だったのか…

「……頑張って損したわ」

「俺は待ち過ぎて時間を損しとる」

ニヤッと不敵に笑って、だけど、何処となく満足そうに見えて私の頭を撫でる。

あの時のように、微妙な心地よさと理解不能な思いを与えて。

「……何よ」

「返事は明日な」

とか何とか言っておきながら、次にとった行動は矛盾していると思った。

後ろには柳くんがいつものように座っているのに、その隣には意味もなく真田くんもいるのに。

初めて感じた仁王のぬくもりは、真田くんのいつもの怒鳴り声で引いていった。





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