LA - テニス
□TRAGIC LOVE
7ページ/63ページ
人の為とは
「別れよう?」
彼が志月にそう告げた時、大きな目に哀しみを浮かべて…
何も言わずに、俺の方を見ることもなく出て行った。
理由も事情も何も言わずに別れを告げた。
無言での了解が俺の胸を締め付けていた。
「嫌いになったわけじゃないんです…」
今更、声を出しても届くことのない言葉は虚しく、すぐに沈黙の中へとかき消されていった。
人の為とは
志月と付き合っている間、予想した以上に楽しい時間を過ごしていた。
それはきっと志月にとってもそうだったと思うほどに。
志月との会話、
志月との思い出、
志月とのキス、
志月との…。
そんななかで自分に異変が起きていたんだ。