LA - テニス

TRAGIC LOVE
39ページ/63ページ


Wristcut Syndrome






ねぇ…
みんな、どうして耐えられるの?

学校、生徒、先生、集団行動、他人、抑制心、精神、我慢、我慢、我慢…

いっそのこと…
全てがなくなってしまえばいい。





神安定剤





放任主義の家庭。
その言葉を吐いた教師は去年、離任した。
義務教育期間の私はそのまま一学年上がり、誰もが近づかない存在。

馴染めないのはクラスだけじゃない。
学校、規則、集団行動…


いや…
この世界に馴染めない。










鳥籠の頂上。
見下すのはそこで騒ぐ生徒たち。
馬鹿、を通り越して…死ねばいいと思う。


「…君が志月ゆい、か?」

「……」

「授業はどうした?」

「…アンタ誰」


窮屈な場所に窮屈な囚人服。
それを着崩した私を見下ろす存在。
別に誰であっても構わない。


「榊太郎、君の担任だ」

「そ」


それが教師であっても…


「今日は病院へ行ったそうだが…」


誰がそんな連絡した?
他人の言う放任主義の家族か?
頼んでもない。


「ばーちゃんが危篤」

「…君の家庭に祖母などいない、違うか?」

「よく調べてんね」


ホントは知ってて聞く。
生徒の悩みは教師の悩みってか?


「本当の理由は…」

「縫合」


卒業までのオツキアイ。
その後に放置するくらいなら関わるな。
ベテラン教師はそんなコトも教えてくれなかったのか?


「縫合?どこの…」

「左手首」



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ