LA - テニス

TRAGIC LOVE
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Narcolepsy





生々しい夢の続き。
それを見るためだけに俺は…


この世界に参加しているだけ





「……んぁ?」

「ウス」

「なんだ、樺地かぁ」


揺すられる感覚。
目を開けてみれば、そこには見える現実があった。


「跡部が呼んでるの?」

「ウス」

「そっか…」


溜息を一つ。
樺地の背中で吐いてみる。


どうして、俺を夢から連れ出そうとするんだろう。


そう考えることにも飽きていた。
意味のないコトだから。


「いたか?樺地」

「ウス」


肩から降ろされて地面に足をつく感覚。
夢じゃない現実に嫌気が差した。
もう一つ、溜息。


「お前はどうしてやる気がないんだ?」

「…だってツマラナイから」


そうでしょ?
ドキドキもワクワクもない世界。
ただただツマラナイ。


「現実は…退屈でつまらなくない?」

「だからって寝てるわけにはいかねぇだろ?」

「……正論」


本当はわかってるよ?
それじゃイケナイってコトくらい。
それでも…


「跡部先輩、また怒ってる〜」

「志月…言わねぇわけにはいかねぇだろ?」

「ジロー先輩もちゃんとわかってるよ」


邪魔しないで欲しいんだ。
現実と夢の境、大きな違い…
それに気付かないでいたいんだ。


「ね?」

「…うん」



ホントはわかってるから…



「じゃ、練習再開しましょう」

「そういうこった。ジローは宍戸・鳳ペアとだ」

「はーい」



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