LA - テニス

TRAGIC LOVE
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Alice in Wonderland Syndrome






夢を見た。
無意味な恐怖に圧されるような…
思い出すことも出来ない、そんな感覚。










変な感覚…
曖昧な大きさになる二人を見て、首を振ってはもう一度見る。
大きくなって…小さくなって…


「観月?」


来るな…


「どうしたの?観月」

「観月先輩?」


歪んで…伸びて…縮んで…
変形していくモノに目を疑うから。
もう人であって人でないモノに見えるから…


「近寄るなッ」


極細と極太が交互にやってくる感覚。
遠近感覚がぼやけてものの大きさが曖昧になる感覚。
悲痛な叫び声は自分から出たモノだとは思えないほどに…

耳を塞いで、急に座り込んだ。
白と黒のコントラストの中に見えるのは…
自分を包み込む異様な空間。


「ど、どうしたの…?」


わからない。
急に訪れた違和感。
懐かしいような感覚もある…恐怖。
頭が割れそうなくらいに痛む。


「大丈夫ですから、近寄らないで下さい…」


よくわからない恐怖に包まれて…
でも、懐かしいような感覚。


「……」


夢で見た。
落石、トロッコ、揺れ動く自分…
押し潰されるような…


「観月君ッ?」



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