LA - テニス
□TRAGIC LOVE
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足跡をたどって
多分、足跡をたどって行けば会えるんだよね。
だって、雪道で足跡をたどった時、私は薫を見つけられたよ?
「薫ッ」
「…滑るぞ」
追い掛けた私に薫は、わざわざ歩いてきた道を戻って来てくれたよね。
「滑っても薫が助けてくれるでしょ?なら平気ッ」
私がそう言ったら、薫は少し顔をしかめながらも私の頭を撫でた。
「…間に合わなくて雪に顔を突っ込んでも責任は取らないからな」
「はーい」
『助けて』くれなくてよかったのに……。
「薫ッ」
「平気…か?ゆい…」
「平気だよッ。足…擦り剥いたくらい……ッ」
「なら…良かった…」
「良くないよッ。救急車ッ。早く救急車呼んでーッ!!」
飲酒運転で点数引かれて免停、罰金が30万くらいで、懲役5年くらいの実刑で…。
「薫を返してッ!!」
そいつの胸ぐらを掴み上げて、泣きながら叫んだ。
「ゆい…ッ」
「返してーッ!!」
泣き崩れても、帰ってくるはずがないことも…攻め倒しても、二度と会うことが出来ないことも…わかっているけど…。
「…ィヤーッ!!」
見えない足跡をたどるっていうのは難しくて、でも薫に会えるなら意地でも捜すよ。
「…薫、怒るかな?」
足跡は天上へと繋がる階段の場所に残されていた…。
END