LA - テニス

TRAGIC LOVE
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反魂術





古い国立図書館で見つけた一冊の本



『外法仏ーゲボトケー』



禁忌呪術の本には間違いはなかった。





オレはその本をこっそり持ち出した…。





一ヵ月前、彼女は居眠り運転をしていた車に撥ねられた。

本当なら怪我だけで済んだかもしれない傷。

それなのに…打ち所が悪かったらしい。

あっけなく逝ってしまった。



その日、オレたちはケンカをしたまま…。





「…」

オレは持ち出した本を、無言で読み始めた。





『外法仏』

平安時代以前から日本に伝わる呪術。

殺した動物の首を、十字路の中心に埋める。
その上を千人の人間が通り過ぎると、その道は魔力を持ち、それを祭った者の願いを叶える。

但し、人に知られたりした場合、それは『外法魔ーゲホウマー』となり術が返され、死に至る禁術である。





禁忌呪術…。

そんなモノ、信じてもいなければ怖くなかった。






隠陽道でいう『犬神ーイヌガミー』と似たような類いの呪術。

これも同じように術のしっぺ返し『逆凪ーサカナギー』がある禁術。



生き返らせる術を知る本を、山ほど読み漁ってみた。

だけど…意味がないことはわかっている。



ただ、それでも信じたい。



『外法仏』だろうが
『犬神』だろうが
何でも構わない…。



「ゆい…」




彼女が甦ってくれるならば…。








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