LA - テニス

TRAGIC LOVE
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助けにならないコトほど
辛いことはない。

それが恋人であったなら
それは余計に肥大する。




別れの宣告






彼女はいつも元気だった。
常に明るかったのに…何故?






次に逢えた時は呼吸もしていない亡骸だったのか…。






抱えきれない傷
それがあったなら、どうして言えなかった?

真実は何処へ埋もれてしまった?



物言わぬ屍は…間違いのない俺の恋人。






「…宍戸さん」

「……見るなッ」

葬儀の最中に流れた涙。
その涙は…彼女の死を肯定してしまう。






「亮くんが来てくれたよ…」

彼女の母親はどんな気持ちで…
その言葉を口にしたんだろうか。

「……」

俺は返す言葉もなく、ただ頭を下げて彼女の顔を見た。


何故?


俺には彼女の気持ちも痛みも苦しみも…
何一つわかってやれずにいたのか?


「…馬鹿…野郎…」


死でしか道がなかったのか?
それが最後の道だったのか?

それが望む未来だったのなら…
どうして…立ち向かわなかった?



死が終わりであるなら、死ぬ前に派手にやっとけよ。

強盗でも放火でも…殺人でも…。






残された俺はどう過ごしたらいい?



「…教えてくれよ…」






渇いた夜空に浮かぶ月。
それは水面に映っているかのように霞んでいた。

途方もない願いは
星は叶えてはくれないと知った。







END
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