LA - その他
□私立荒磯高等学校生徒会執行部
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HAPPY BIRTHDAY?
「誕生日おめでと。時任」
「サンキュ。くぼちゃん」
「プレゼント、約束通りアレにしたよ」
「えッ、マジ?アレじゃなくてもよかったのに…」
「時任のためならな…」
「くぼちゃん…」
……前回同様、
扉の前でぷるぷる震えている少年が一人。
「俺の久保田先輩に触るなーッ」
「あ、藤原」
久保田と時任が同時に振り返る。
「誕生日だか何だか知らないけど、俺の久保田先輩に指輪なんかねだるなんてッ」
「指輪?」
久保田が手渡した光るリング。
それが時任の手の中で転がる
「…これ、RCの廃盤になった部品だぜ。バーカッ」
「なッ」
時任が『ほーれ』と軽く見せびらかして笑う。
久保田もその様子を見ながら煙草に火を付けて吹かし出す。
「今時、RCなんてダサダサっスよッ」
「何だとコラッ。くぼちゃんもハマってんだぜ?なぁ?」
「あれって結構おもしろいよ。モーターの付け方とかマシンの風の抵抗をどうやって最小限に抑えるかとか…」
久保田のうんちくに藤原の頭が混乱する。
それを無視して久保田と時任がマシンについて語り始める。
当然、会話に入れない藤原の姿が惨めに残った。
次の日、藤原は一日かけて勉強したRCの知識をフルに活用しようとしていたが、すでに別のモノに興味を示している久保田と時任には相手にされなかったという。
無駄な努力ほど無駄なモノはない。
と桂木は、はたから見て溜め息をつく。
…実はアレというのも部品でも何でもなく、紛れもない少し変わったデザインの指輪だということに、藤原はまだ気付いていなかった。
END