LA - その他

□女神異聞録ペルソナ
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何が起きているのか分からなかった。
だから私は、彼の言うことを聞かずに飛び出してしまったのです。



選択 〜桐島英理子〜



まさか駅も封鎖されているとは思いませんでしたわ。
それに…この御影町だけを覆う大きな負の力、タダゴトでないことくらい一目瞭然。
向こうが見えているというのに見えない壁に弾かれるなんて言うまでもなくナンセンス。
これってやはり…あの時の「Persona様」の所為なんでしょうか。

地下鉄まで来て「ヒト」は何処にも居ない。
居るのは「ヒト」でないものばかり。
エルミン学園は…本当に安全な場所と言えるのでしょうか。



『何で…学校は安全だって藤堂たちが言ってたじゃん』
『桐島一人出たって何も変わんないよ』
『わざわざ死にに行くのッ?』

急に、必死な顔をして止めてくれた唯一の友人の姿を思い出して笑った。
強気な女子高生の象徴とも言える彼女が、初めて見せた素顔のようにも思えた。
そう、本当は誰だって関わらず無事に居たいというのが本音。だけど私は…

『…逃げるのは簡単ですわ』
『何?』
『これが現実だから…抗ってやりたいとは思いません?』

同じように怯えるのであれば、存分に戦って抗ってやりたいと思ったんです。
強者に怯えて身を隠すのもどうやら簡単なことではないようですし。
だったらいっそのこと…決死の覚悟を以って抗ってやりたかったんですわ。

『ばっかじゃないのッ』

そうね。人は馬鹿だと思うかもしれない。
無事で生きていける場所から何故出て行く必要があるのか。
でも、私は本当にそこが安全かどうかも確かめるために出て来たんです。

『あら。私はYukaがこんなに小心者だとは思いませんでしたわ』

楽しいことなら何だって首を突っ込む彼女が、とても人らしく思えた。

『アタシは現実派なのッ』



今も、学校は無事でしょうか。
施錠したとはいえ、そう簡単に防げるような敵でないことは明白。
ただ私には「Persona様」が付いているから、私は無事で居られるけれど。

……彼らは?

同じように外へと出てしまった彼らが、無事であるか分からない。
だけど、無事で居てくれたなら今度は…共に抗いたい。誰が、何と言おうとも…




END
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