LA - その他

□女神異聞録ペルソナ
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世界を元に戻す、そのために動き出して何日が経過しただろう。
綾瀬は…学校へ戻れただろうか?
上杉は?黛は?
何度か会った城戸は…今はどこにいるのだろう?





無限幻想





異常化してしまった世界で動いている俺たちは…
利口なのか、馬鹿なのか
それすらわからずに彷徨っていた。

「Kei」

疲労だって半端ではない。
誰もが怪我を負い、緊迫した状況下。

そんななか、
なぜ、藤堂だけ平然としていられるのだろう?

「…どうかしたか?」
「薬が切れてますわ」
「ホントだ。さっきの戦いで使い果たしたかな?」
「……」

バラバラだった。
少なくとも、このメンバーは…

「どうする?」
「買いに行くしかなかろう…」
「そうだね。そうしようよ、尚也君」

中心にされているのは藤堂。
無口ゆえに頼られ、それに応え…
それでも何も言わない。

こいつだって人間だ。
少なくとも俺たちと同じ立場で、何も変わりはしない。
それなのに…気付けば頼りにしてしまう。



少し進んではまた戻り、何かを探しては行き詰る。
生と死が隣り合わせ。
こんな局面に、誰が立たされるとでも思おうか?



一時的な休息。
どうやら、このあたりにまでは奴らも侵入はしない。
薬局ではいつもの音楽が流れ、園村と桐島は仲良く品物を見て回る。

「藤堂」
「……」
「お前は何も言わないんだな」

無駄な発言はしない藤堂。
キツイとも休みたいとも言わない。
ただ周りに合わせ、同じ歩調で歩いていくだけ。

「辛くはないのか?」
「……」

辛い…辛くないはずがない。

山岡が死んだ。
たくさんの者たちが死んだ。
この先、誰がどうなるかすらわからない。

誰も予想しなかった出来事だから。
次は…

「…弱音を吐いても始まらない」

無表情に、無感情に
だけど感じた、強い意志…

「…そうだな。早く終止符を打たないとな」

コクリと頷く藤堂。
その表情は少しだけ微笑んだようにも見えた。

「きっと俺たちしかいない」
「…ああ」



そうか…
だから頼ってしまうのだろう。



「藤堂君、南条君〜」



「呼んでるな」

レジに並ぶ二人の姿。
呼ばれ、共に歩き出す俺たち。

「藤堂」



口を開かなくとも感じる強い意志。



「…共に戦おう」



それが俺たちを動かす源となっているから…



END
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