LA - テニス

04-06 携帯連載
14ページ/91ページ


「志月先輩も飲みますか?」

「アホか、そんなコトしたら跡部に殺されてまうで?」

「だけど今日は特別暑いですよ?」

「だったら自販行って買って来いよ、長太郎」

「そんな…向日先輩が行って来て下さいッ」

「何で俺にフルんだよッ」


気遣いなんか…


「ウス」

「お、樺地。気が効くやん」


私には必要ない。


「ウス」


そう思っていたはずなのに…


「…ありがとう…」

「ウス」

「今度買い出しに行く時は志月専用も買わねぇとな」

「せやな、跡部に提案したろ」

口から出た小さなお礼。

開けることの出来ない貰ったジュース。

「志月先輩?」

「…開けれへんの?」

感じたこともない感覚。

忘れていた思い出。

「よし、俺が開けてやるよ、貸してミソ」

「……飲むなよ、向日」

「何だとーッ、くそくそ宍戸め」

温かい場所。

飛び交う言葉に自分の言葉が繋がらない。

「ホラ、開いたぜ?」


自分の言葉が…


「……ッ」


気付けば泣いていた。

温かいモノが頬を伝い、風に触れて冷たくなっていく感覚。

零れて、手に落ちる。


「…話すん苦手なんやろ?跡部が言うとったで」

「……」

「そのうち慣れるさかい。泣くことあれへんで?」


他人は冷たいモノだと

誰に教えてもらわなくとも感じていた。


「人に接した方がいいから、それが跡部先輩がココへ無理やり入れた理由です」

「今は慣れへんでもいつか平気になるで?」


感じて、感じて…

そう思うようにしていた。


「……ありがとう」


今日、言えた言葉はこれだけ。

それでも…



「練習再開だ、さっさと戻れッ」



言わずにはいられなかった。



「ゆいも、洗濯終わってたぜ」

「……はい」

「俺様が直々に手伝ってやる」



次へ / 戻る
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ