LA - テニス

06-07 携帯短編
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どんなだろう、私たちに敷かれたライン…関係性ってヤツは。

友達?幼馴染み?お互いを誰よりも知る仲でありながら、それだけハッキリしない。

でも、そうしなかったのは他でもない私かもしれない。

頭の中はずっとグチャグチャ、心の中はそれ以上にドロドロ、だ。


「ねえ岳人」

「何だよ」

「ウチらって付き合い長いよね」


聞くまでもない事実、変えようのない現実と記憶。

目を閉じて記憶を遡って、その記憶の中に私たちはいつも居た。一緒に。


「んだよ、今更…幼馴染みだろ?」

「幼馴染み、か」

「不満なのかよ。変えようのないこ――…」



―― 変えたいのよ、今更なんて言葉では済まないから。



「……」

「……」


ブランコは音を立てて、私たちもまた嫌な音を立てた。

考えなんてなかった。無理やりだとキレられても仕方ないと思った。

ロマンチックの欠片もない、歯と歯がぶつかっちゃうような不器用なキス。

一瞬だけでも触れられたなら…きっと、嫌でもこの想いは伝わる。


「好きなの」


ねえ、この言葉を聞いて何を思う?

どんな顔をして、どんな言葉を返してくれる?

困った顔をするなら、冗談だって笑って誤魔化してあげる。

怒った顔をするなら、逆ギレしてこの場から去ってあげる。

そう、思いながらも顔を見ることが出来ずにただ元の位置、ブランコに座る。


「……冗談だろ?」


返って来た返答は、残酷な一言。

ああ、そう言葉を返して来るならば、私もこう出るしかない。


「……そうよ、冗談」

「だったら許さねえ」


隣で静かに立ち上がる岳人の姿が、視野にぼんやりと映る。

困った顔をして、そして怒った顔して…そんな時はどんな反応をしたらいい?

"許さない"って言った岳人に、何で許してもらえるというの、かな。


「……ごめん」

「謝って許せるか、この馬鹿!」


ふわり、暖かな風が横切った。

頭上から重い、だけど温かな何かが私を押さえつけて来る。

首、もげるどころか取れそうな勢いで押し潰されてる。


「がく――…」

「さっきの言葉、冗談なんかで済ませたら許さねえからな」


頭、背中にあった重みが不意に消えて、目の前に見えたのは…

幼馴染みの笑った顔、昔と何一つ変わらない大好きな岳人の笑顔。

頬杖を付いて斜めの角度、そこから真っ直ぐ元に戻した時、

どちらからでもなく顔が近づいて、自然と目を閉じた。


「俺が、早く言えば良かったんだな」


ポンポンッと頭を叩くように撫でた岳人は、夕陽で顔が赤く感じた。

きっと私も赤い顔をしてて…それで泣いたと思う。





END
瑠璃さんリクエスト、岳人夢でした。
正直、岳人夢を真面目に書いたのは初めてです。
キャラがいまいち掴めてなくて、イメージを崩していたらすみません。
瑠璃さんのリクエストに無事添えていたら幸いです。
リクエスト頂きまして本当に有難う御座いました。


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