1998年(第1詩)

 「月と私」

 朝の静かな始まり
 人々はまだ眠りのなか
 見上げれば月がそこにいた
 月も私をみていた

 透き通る空に浮かぶ目もあやな月は
 独りで様子をうかがっていた
 気分はどう? あれからどうだった?
 月は自分に問い掛けていた

 陽が起き月は眠りについた
 私はその様子を見守ることができなかった
 また恋しく思い
 あの時のように見上げるだろう

 1998年(第2詩)

 「涙」

 とめどなく流れて
 どうしても流れて
 気づいたら涙が流れていた

 平気だよ 我慢できるよ
 僕は強いんだ……

 もう涙は見せないよ
 笑むことができるよ
 だって僕は強くなるんだから

 1998年(第3詩)

 「光という明かり」

 生き物がいる場所へ
 命あるザインの場所へ

 温かさを感じた
 それはかってに思っているだけかもしれない
 未来が見えそうになった
 それはかってに思っているだけだろう

 それでも光という明かりがある限り
 いつでもどんなときでも
 歩いていきたい

 1998年(第4詩)

 「空の日」

 一秒一秒変わり続ける模様
 何色にも染まる空間
 宇宙、太陽、空気、雲、風
 大地をも包み込んでしまう
 
 私たちは空地の間に立っている
 地上から見上げることもできるし
 空中から見下ろすこともできる
 遠く果てしないものだけれど
 身近なものでもある

 そんな空に心惹かれる

 1998年(第5詩)

 「生きる灯(あかし)」

 笑ったり、怒ったり
 悲しんだり、驚いたり
 感情が常に沸き起こる

 見たり、聞いたり、匂いがしたり
 味がしたり、触れたり
 当たり前のようで気付かない

 今この瞬間を感じることができれば
 大きい大切な感動を
 見逃しはしない

 1999年(第6詩)

 「風懐(ふうかい)」

 見えない羽で、見えない翼で
 どこまで行けるだろう
 四方を望みながら
 追い風に乗った

 何故か見たことのある風景
 優しい風が吹き抜けた
 そうだ あの時の大切な思い出
 いつの間にか忘れていた

 幼いころのある帰り道
 風に出会った
 泣いていた私を
 追い風が背中を撫でてくれた
 
 ありがとう ありがとう
 あなたに会えて
 大人になれたんだ

 1999年(第7詩)

 「夏の記憶」

 それぞれ一つ一つの花火
 夜空に咲かせるため
 私たちは筒の底で
 待ち焦がれていた

 打ち上げられた時
 私たちは真実の風姿を見せ
 光り満ち、そして、
 死灰になった

 それ故に
 形跡を残そうとするのである

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