ときメモSEED
□1年目4月
2ページ/3ページ
「席に着きなさい」
ガラリとドアが開き、みんな慌てて席に着く。
「今日からこのクラスを受け持つラウ・ル・クルーゼだ。担当科目は化学。…何か質問はあるか?」
教室内が静まり返る。それもその筈、クルーゼと名乗った教師は目を覆うように仮面を付けていた。みんなツッコミたいのを我慢しているに違いない。
「先生ーその仮面はギャグのつもりですか〜?」
オレンジ頭の生徒が手を上げながら言う。
凄い度胸だなぁ…。
視線が合い、にっこりと微笑まれる。慌てて自分も笑い返した。
「誰にでも訊かれたくないことの一つや二つはあるだろう。私の場合はこれがそうだ」
クルーゼ先生はそう言って意味ありげに笑った。
「素敵ね…?」
小声でフレイに同意を求められ曖昧に頷く。
まあ、何か理由があるみたいだしあの仮面については考えないようにしようっと。