ときメモSEED
□プロローグ
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入学式までに時間があるから先に『乙女の像』を見ようと中庭にある花壇へと向かった。
よく手入れの行き届いた、花が咲き乱れた花壇の前にそびえ立つブロンズ像。天使の様に微笑む少女の姿が象られている。
「これが『乙女の像』か…」
この像の前で父が母に告白したという。
「…おい。新入生じゃないのか?そろそろ式が始まる。集合しろ」
「あ…すみません」
突然背後からした声に驚き振り返る。
「急げよ」
それだけ言うと去っていってしまった。
先輩だろうか?綺麗な人だったな。肩口で切りそろえられた銀髪が印象だ。
「あ。早く行かなくちゃ」
駆け足で体育館へと向かう。