審判間近になると、独居へ移る。もし舞い戻って来た場合も同じ独居房で移送される日を待つ。同房だった二人とその後、ちゃんと会話する事は出来る心境じゃなかった。でも年少行きが決定した人は好きなだけ読みたいマンガを何冊でも部屋に入れて読んで良いというここの鑑別の配慮に少し気を紛らわせる事が出来た。

数日後、年少から迎えが来た。その頃にはもう自分は居直って年少生活の送り方を大体心に決め、それに向かってただ頑張るのみだと言い聞かせていた。
迎えの先生は二人。方やベテラン風の男の様な女の先生、もう方や新任の先生。初めての迎えに手慣れない様子で手錠をはめ、三人だけにしては大きなバスに乗り込み鑑別を後にした。

苑に入ってしまえば、当分出られることはない。門をくぐった瞬間、自分の中で不思議と気持ちが切れ替わりシャンとなった。統括先生に挨拶を済ませ迎えの先生達と別れる。今度は別の先生について小部屋に入りパンツ以外全て脱いで身体チェックをされる。もちろんパンツも膝位まで下げて股を広げ何も持ち込んだりしていないかなど調べられる。制服に着替え自分の番号と苗字が書かれたバッチを胸に付ける。大きさは直径5センチ位の丸いヤツで縁は青。二級の下といって新入時、みんなここからスタートする。渡された紙の質問に記入し、規則や仕組みなどの説明を受ける。そしていよいよ部屋へ通される。まずはやはり独居。独居房が並ぶこのフロアを一つの寮とし、必ず教官室と呼ばれる先生の部屋に常時どの先生かがいる。その日の単独寮当直の先生に挨拶をする。


"礼に始まり、礼に終わる"これは最近自分が好きな言葉だがそのまま当てはめた様な処だ。少しであっても曖昧だとか不明確な事は許されない。
その日の早い内に小さな普通のお風呂に入る。俗に言う「垢落ち」である。貸与品は全て平等に配られちゃんと最低使用期限は保たさないと無くなったからと言ってくれる訳がない。生徒には入所時、服等の見分けを付けるため違う番号を与えられ、全ての品々に書かれ、衣類には新入時に縫いつける事が日課にある。
翌日から27個位の遵守事項を丸暗記する課題をクリアしなければならない。そしてそれに違反した場合はそれに見合った懲罰を受ける。しかしそんな事よりも新しい生活が始まると思うと決まってワクワクするめでたい性分である

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