鑑別所へ着くと、新入りと自分がペアになり女の先生(法務教官の事をこう呼ぶことになっている)から説明を受ける。

まず服など身につけているもの全て個々別に箱に入れ規定の衣服を着用する。

かごにサイズの合ったパジャマ、シーツ、靴下などを入れ言われたとおりに整列して廊下を歩く。

入所してすぐの間は独居に座ることになっている。
俗に言う独房、単独房などと同じ意味だ。それぞれの房に入れられドアの横の方に外からわかるように名札を挟められる。

簡単な説明を受け一つずつ作業を済ませる。
建物の造りについては学校の校舎を想像していただければわかると思う。

違うのは完璧に男女を分けてある事、ここでは棟、又は西校舎、東校舎と言う具合に一切接触することは出来ない。

古い所内に響くのは男の先生の怒鳴り声位だろうか。
無駄話や日課を真面目にこなさない者には大きな渇が飛ぶ。
自分はここには結局四、五日間座っていたのだが、雑房(集団部屋)には移らずじまいだった。

うろ覚えで順番もバラバラになるが一日の流れをいうとまず朝起床、掃除、朝食は留置場と変わらない。

昼までの時間ははり絵セットを配られるのでそれを作成したり、一人ずつだが順番に小さな図書室で本を数冊借りて読んだりできる。入って始めの内に健康診断を受ける。

身長測定・体重測定・採尿・採血だ。それからいちおう担任なるものがそれぞれに割り当てられていてあまり関係ないが連絡帳というか日記帳の様なものに毎日記入して必ず提出する。

鉛筆・消しゴムも必ず回収される。
ここでは確か二階から三階などフロアを移動する際、おいてある洗面器に手を数秒浸けタオルで拭くという消毒作業が義務づけられていた。

建物自体は古く房内もかなり年期の入った備品と部屋の造りで何からの消毒なのか何のためなのか未だによくわからない。

トイレと洗面台が一畳程度のスペースに備えられているがその床にはゴキブリホイホイがいくつかおいてあった。ちなみにトイレは和式で入り口から一番遠い窓際にあるのだが衝立は低く、用を足すときは上半身見える形になっている。

希望によりおかしを購入する事が出来る。

二種類あって両方頼んでもよい。

これはやはり逃す手はないだろう。

夕飯を終えたらテレビがついて毎日NHKの録画のニュースを観る。
昼は外で運動出来ない時に体操のビデオに合わせ体を動かす。
夏だったので午睡タイムも設けられていた。そしていよいよ地元へ移鑑となる。

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