平成10年6月29日夕方
ちゃんとタクシー乗って帰っとけよって言われたのにも関わらず、ほんの少し歩けば大通りで、すぐさまタクシーなんざつかまえられるのに…。
その数十メートルがだリィんだよ。ビルの陰でしばし休憩…。
いつの間にか深い眠りに入ってしまっていた。
通行人A「おい、大丈夫か?」
自分 「へ!?あ、大丈夫です…。」
また一眠り
通行人X「どないしたん送っていったろか?」
自分 「へ!?いや大丈夫です」
そしてどの位の時間が過ぎた頃だろう…
「こらこら、どないしたんやちょっと起きてみぃ?」
懐中電灯で顔を照らされハッとしてグーと目がさめた。
目の前には警官が三人、囲んでいた。
辺りは真っ暗だった。
かなりの時間爆睡し続けていたため、座り込んだ足の間に立てて挟んでいたバッグは倒れ見事に中身が散乱していた。
自分はそれを拾いながら悟られないよう必死に頭の中で色々考えていた。
(どうやったら逃げきれるだろうか…これはかなりヤバイ状態じゃねぇか、もしかしたら…)
警官は財布を手にとると
「自分で帰れるてお金持ってんのか?ちょっと中見るで。」
そう言って中をチェックした。
「お金あるやんか酔うてんのか?ま、エエわちょっと一緒いこか?な?」
………終わったな……
そう思いながら重たい尻をあげ、やはり悟られないように警官三人について歩いた。
ついでに知り合いにすかさず連絡を入れた。
手短に
「あ、今補導されてますんで。道頓堀ですわ」
位の内容ですべてが伝わる。
とりあえず腹くくった。
道中、警官に簡単な職質を受けながら本当の年令を言ったところ警官は驚いて何か事件の臭いがしたのか交番の奥に自分を誘導した。
15歳で実家を離れている事で家出人と見られてしまい状況は大袈裟な展開へと進んだ。
そして極めつけ、念のためにと両腕を確認された訳だが、管轄の署へとパトカーで移送されたのは言うまでもない。
時刻は夜23時を回っていた。
まず尿を採られた。
色の濃いホクホクぶりを見た少年課の刑事は何気に良い顔をしていた。
婦警に身体検査された時に、ゴミとしてほるつもりだった注射器がズボンのポケットから出てきた。
何となく平然と謝ってみた。
40〜50分後、尿検の結果が出た。
上の成分の方は枠を飛び抜けていた。
緊急逮捕である。