物語
□脆く儚く
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────この身、朽ちるならばあんたと共に。
『脆く儚く』
「………っ、斎藤さ……」
「そのまま動くな…」
夜の薄闇の中で、少女───雪村千鶴の耳朶に唇を寄せる。
明かりを灯していない部屋の中、月明かりに照らされ白く輝く髪は俺に流れる羅刹の血によってもたらされたものだ。
羅刹。
その血に、俺は抗えなかった。
発作の度、千鶴がその身を差し出し血を与えてくれるのを良いことに俺は千鶴の血を吸って狂気を抑えてきた。
千鶴がいなければ今頃───と考え、耳朶から唇を離す。
「斎藤さん………?」