捧げ物
□変わらない
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「蛇骨〜好きだぜ〜」
「ん〜俺もだぜ〜」
「んじゃヤろうぜ〜?」
「それは嫌。」
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「ちくしょぉぉぉお!!!死ね煉骨っ!!」
「ちょっ!!?そうやってすぐ俺に当たらないで下さいよ!」
危うく自分の頭をかち割りそうだった蛮竜をひょいっと避けて煉骨はなだめる。
「まったく…蛇骨に拒まれたくらいで…」
「これで何回目だと思ってんだよ!!」
七人隊唯一の女性、蛇骨と恋仲の蛮骨はある悩みと苦痛を抱えていた。
それは、互いに思いあってもう数ヶ月経つと言うのに、未だに一度も交わっていないということだ。
蛮骨としては今すぐにでも蛇骨の身も心も自分のものにしたいと思っているのだが、蛇骨はそういったことに消極的なのか蛮骨の誘いを拒み続けている。
その度に蛮骨はこうして煉骨に当り散らして話を聞いてもらっているのだった。
「だから言ってるでしょう、一度ちゃんと話し合えって」
「だってよぉ………」
「フラれるのが怖いんだな?」
「……………」
「図星か」
「…うるせぇ」
「とにかく、毎回毎回俺の所に来られても何も解決しないだろ…俺だって暇じゃないんですから」
「分かってるけどよ…」
「じゃあ俺はこれで」
「あ!待て……ちっ、冷てぇ奴」
珍しく自分を見捨てた煉骨に悪態つきながら蛮骨は考えを巡らせる。
だがいくら考えても良策は見つからず、結局蛇骨自身に聞いてみるしかないと思い立ち、蛮骨はその場を後にした。
******
夜、蛇骨の部屋には蛮骨の姿があった。
「大兄貴?どうしたよ、こんな夜中に」
「あぁ、まぁ色々あってな…」
「ふ〜ん?」
「なぁ蛇骨、聞いてもいいか?」
「ん、何?」
蛮骨は少し言いにくそうに目を逸らしながらぼそぼそ呟いた。
「あのさ、蛇骨は思わねぇのか?…その、ヤリたいとかって…」
「またそれ…」
「なぁ、どうなんだよ」
「………」
整った顔を少し歪めたかと思うと、はぁ、と溜め息をついて蛇骨はそっぽを向いてしまった。
機嫌を悪くしたのかと心配したがどうやらそうではないらしく蛮骨は安心した。
「思わねぇこともねぇよ…でも必要ないだろ?」
「んなこと…」
「大兄貴…大兄貴はさ、俺を抱きたいから好きになったのか?」
座っている蛮骨の前に座ってで蛇骨は尋ねた。
真っ直ぐ見つめる眼はどこか悲しげにこちらを見ているように思えた。
「そんな訳ないだろ」
「ならいいじゃん、一緒に居るだけでさ」
そう言って蛇骨は笑った。
だが、そんな蛇骨の顔を見て蛮骨は少し違和感を覚えた。
いつものように屈託のない笑顔とは違ってどこか無理をしているような感じがして…。
「ほら兄貴ももう寝なよ、明日も城に出掛け…」
「嘘つき」
「え……うわっ!?」
急に体制を崩して蛇骨は床に倒れ込んだ。
押し倒されたのだと分かったのは目の前に蛮骨の顔が近づいてからだった。
「あ、あに…」
「何隠してんだよ、お前?」
「…っ……」
「言えよ、思ってること全部…じゃねぇと俺も納得できねぇんだよ」
そう言って蛮骨は蛇骨の細い首筋に顔を埋めて舌を這わせた。
「やっ…兄貴っ……」
抵抗しようとする両手を頭上で一纏めにすると蛇骨の瞳が恐怖に揺れた。