捧げ物

□愛、故に
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「はぁ……つまんねぇなぁ〜……」

雇主が用意した屋敷の廊下をトボトボ歩きながら蛇骨は深く溜め息をついた。

恋人の蛮骨が煉骨と城へ用事があるからと出掛けて三日、蛇骨は退屈と欲求不満の募る日々を送っていた。


「仕方ねぇな〜、ちょっと相手してもらうか」


そう呟いて蛇骨はある部屋へ向けて足を進めた。

目当ての部屋の前に立つと呼び掛けもせずに襖をスパンっと勢いよく開けた。


「っ!!?な、何事ですか!?」

「よぉ睡骨…ってなんだよ、医者かよ……」


勝手に部屋に上がり込んで勝手に落胆しながら蛇骨は睡骨(医者)を見下ろした。


「ま、いっかぁ…なぁ医者、お前暇だろ?」

「………」


後ろ手に襖を閉めて歩み寄って来る蛇骨にこの上なく迷惑そうな顔をして睡骨は言い放った。


「見て分からないのですか?医学の勉強をしているんですよ。早く出て行って下さい、邪魔です」

「そっか、じゃあ丁度いいや」


何が、そう言う前に蛇骨が睡骨の腕を引っ張り自分の下腹部を触らせると、ニヤリと口角を吊り上げた。


「『性交』のべんきょー…しようぜ?」

「っ!?……冗談じゃ」

「いいだろ?大兄貴が帰るのは明後日だし、俺ももう辛いんだよ」

「…それくらい自分で処理したらどうなんですか」

「趣味じゃねぇんだよ、自分で抜くの…なぁ?」


クスッと笑うと蛇骨は耳元に口を近付け誘うように甘い声で囁いた。


「ヤろうぜ…先生…?」

「………」


最初のうちは抵抗をしていた睡骨も半分以上諦めがついたのか、蛇骨の手を掴んで床に組み敷いた。


「はぁ……蛮骨様にバレても知りませんからね…」

「とか言いながら勃たせてんじゃねぇよ、この変態」

「貴方程じゃありませんよ」


そう言うと睡骨は蛇骨の首筋に顔を埋めて鎖骨から顎へと舐め上げた。


「っ……ん……」

「へぇ、意外と可愛げのあるところもあったんですね」

「うっせ……黙って進めろよっ…」

「はいはい」


愛撫を感じながら悪態つく蛇骨を適当になだめて、睡骨は着物の帯を外し蛇骨の胸を露にさせた。


「……細い」

「はっ、羨ましいだろ?」

「ひ弱なのは御免です」

「っあ……んぅっ…て…めぇ……」


また何か言われそうだと思い、睡骨は胸の突起を片手で弄り、反対側は口に含んで舌で転がして遊んだ。

ここ三日間、禁欲生活を送っていた蛇骨にとってはそれだけでも充分に感じることの出来る快感だった。

だが、やはりそれだけでは足りないらしく、無意識に腰が揺れているのを睡骨は見逃さなかった。


「どうしました?」

「っ……下…も……」

「ちゃんと言わないと分かりませんよ?」

「くっ……」

「………」


本当に言わないと動かない、そう感じた蛇骨は自分より格下(蛇骨談)の睡骨に懇願することに若干屈辱を覚えながら呟いた。


「…下も……触って…下さ…い……」

「フッ、良いでしょう…足開いて下さい」


満足そうに笑い睡骨は蛇骨の足を開かせ自身に手を伸ばした。

そして、それを乱暴に扱い蛇骨を絶頂へと追い詰めた。


「はぁっ……ああっ…ちょ……そんなっ…」

「触って欲しかったんでしょう?」

「やぁっ…ひぁあっ……あぁっ!!」


身体が熱くなっていくのが分かる。

もう少しで…

蛇骨がそう思った瞬間、開くはずのない襖が勢いよく開き、音を響かせた。


「っ……ん…?」


途端、止まってしまった行為に顔を歪ませながら蛇骨は開いた襖のほうを見上げた。

同じ方向を見つめた睡骨はしばらく固まっていたが、さっと顔を青ざめたかと思うと蛇骨から跳ぶように離れた。

2人の視線の先に立っていたのは、この三日間、城へ出掛けていた筈の男…。
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