捧げ物
□取り柄
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最近、蛇骨が近寄って来ない気がする。
理由は分からねぇけど、そんな気がする。
全く話さない訳じゃないし、普通な会話もしてる。
だけど、何故かすぐどっかに行きやがる。
どこか、ってそんなの分かりきってる。
分かりきってるからこそ…
なんか腹が立つ…
なんでよりによって…
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「煉骨の兄貴〜!出来たぜ〜!!」
朝から明るく元気な蛇骨の声が響く。
その声に呼ばれ振り向いた煉骨は、蛇骨の両手に乗る物を見て細く微笑み掛けた。
「おぉ、いいじゃないか蛇骨。腕をあげたな」
「へへっ」
蛇骨の手に乗る物…それは皿に盛られた菓子。
どうやら煉骨に教わって作った蛇骨の手作り
らしい。
褒められて嬉しかったのか蛇骨は誇らしげに笑っていた。
「食ってみてくれよ、結構な自信作なんだぜ〜」
「へぇ………ん、美味いじゃねぇか!意外と」
「だろ!だろ!!やっぱ俺って天才なんだなぁ、あっはっはっは!!」
楽しそうに会話をする二人。
そんな様子を一人、非常に気に食わなさそうな顔で見ている男が居た。
煉骨と楽しそうに会話している蛇骨の恋人、蛮骨。
最近目に見えて分かる程蛇骨と煉骨の仲が良いのが気に食わないらしく、常に不機嫌な状態にある。
仲が良いだけならまだしも、そのせいか蛇骨が自分に寄って来なくなったこともあり、更に苛立ちを増していた。
そして今日も、蛇骨は笑顔で煉骨の許へ走って行く…