捧げ物
□会議は最低2回
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片手を腰に回して抱き寄せると蛮骨は更に奥へ自身を押し込んだ。
初めよりはほぐれてきた蛇骨の中は、もう蛮骨自身に絡み付く心地よい状態へと変わっていた。
自分の中に熱い塊を感じながら蛇骨も腰に走る快感に溺れていった。
「ひっ……ああっ…んぁあっ…」
「…はっ……蛇骨…」
揺れる身体を支えようと蛮骨の首に両腕を絡めて蛇骨は啼いた。
耳元で響くその声が蛮骨を興奮させて、自身は更に質量を増して中を犯した。
熱い、火傷するのではないかと思うくらいに熱い蛮骨自身を受け入れながら蛇骨は翻弄される。
そのうちその熱すら快楽にしか感じられなくなり、気付かないうちに蛇骨は自らも腰を振って絶頂へと近付いていった。
「はぁっ…ん……ああっ…」
「っ……」
「いあっ……ひっん…イッ……ちゃ…ぁあっ」
閉まらない口の端から涎を垂らしながら蛇骨は限界を訴える。
額に汗を浮かべながら必死に締め付けに耐えていた蛮骨もそろそろ限界らしく、蛇骨の言葉を聞いてより激しく腰を打ち付けた。
「んぁあっ…あっ…ひぁ……あぁっ…」
「っ……はっ…」
「あに…きぃ……も…っ…」
「あぁ…中に出すぞ…」
切羽詰まった声で囁くと蛮骨は蛇骨に口付けて絶頂目掛けて律動を続ける。
「んっ……ひ…あぁっ…」
「……蛇…骨っ…」
「あっ……んぁっ…ひぁぁあっ…!!」
「くっ……!!」
身体をしならせて蛇骨は限界を迎えた。
その締め付けに耐え切れず蛮骨も蛇骨の中で限界を迎え欲を放った。
しばらくの間、寂れた宿屋から荒い息遣いと女の喘ぐ声が絶えず響いていた。
***後日***
「なぁ、大兄貴」
大名が用意してくれた屋敷の自室で寛いでいると、突然呼ばれて蛮骨は振り返る。
そこには妙に真剣な表情でこちらを見る参謀、煉骨が立っていた。
「おう煉骨、どうした?」
大抵煉骨が自分の部屋に来るのは城主や戦のことで伝達があるときぐらいなのだが、いつもと違う雰囲気の出で立ちの副将に蛮骨は違和感を覚えた。
わざと気付かないふりで部屋に座らせると、思いもしなかった単語が出たから少し拍子抜けた。
「また喧嘩でもしたんですか?」
「………はぁ??」
煉骨の話はこうだった、最近蛇骨の様子がおかしい、元気がない、いつもはしゃぎまわっているのに何故かずっと大人しい。
「んな訳ねぇだろ、強いて言えばその逆だ。前にも増して仲睦まじくだなぁ…」
「そうですか」
「聞けよ!最後まで!!」
「喧嘩じゃないとすれば理由は一体……」
「疲れてるだけだろ。心配し過ぎなんだよ、おめぇは」
「飯も食わないんですよ」
「…………」
「食うとしても酸味のある物ばかりで」
「…………」
「そういえば貧血っぽい症状も少々…」
「………煉骨」
つらつら蛇骨の症状を述べていた煉骨を制止して蛮骨は顔色を変えて続けた。
「睡骨呼べ……緊急会議だって言って」
「………あぁ…分かりまし」
「早くっ!!!」
「はいはい」
珍しく焦り気味な口調の蛮骨にうっすら笑みを浮かべながら煉骨は部屋を後にした。
しばらくして煉骨に連れられて睡骨が部屋にやって来た。
運良く善人の姿で。
「どうなさったんですか?蛮骨様」
「よお医者、丁度良かった…実はな……」
蛮骨は多少落ち着きを取り戻したらしく先程煉骨から聞いた話を睡骨にも聞かせた。
「なるほど、それでご心配されていると…」
「まぁな」
「あの…一つお聞きしたいのですが」
「あ?」
胡座をかいて肘をつく蛮骨に、これまた真剣な面持ちで睡骨は問う。
「ここ数日の内で蛇骨様と情を交わしたりしませんでしたか?」
ここ数日の内、心当たりのありすぎる問いに蛮骨は固まった。
確か宿屋で夜が更けるまで情事を行なったのがつい最近。
ということは…
「それ…まさか…」
「まだ断言はできませんが恐らく…」
「お、大兄貴…」
部屋になんとも言えない空気が漂う。
そこにいる誰もが同じ考えに達していたからだ。
「まだ確定出来る症状は出ていないので分かり兼ねますが」
睡骨の気遣いも虚しく呆然とする蛮骨の耳には入っていなかった。
頭を巡る2文字の言葉に思考を支配されながら蛮骨は必死に考えを巡らせる。
もしそうなら、今後自分達はどうするのかと…。