書物

□蛇骨様のお戯れ
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七人隊の首領『蛮骨』

最年少にしながらその腕っ節の強さから軍団を束ねる首領となった男。

彼に敵う者はこの世にいない。

ただ1人…

彼の恋人『蛇骨』を除いては…。





(…………真っ暗だ……)


おかしい、目は開けてるはずなのに何も見えない。


(……布団…で寝てたよな、俺……)


昨日寝る直前、絶対に自信を持って布団に入った記憶がある。
だが感覚的には何かに縋って座っている感じがするし、肌寒い。


(………動かねぇな…)


縋ってるのは恐らく柱、
動かないのは腕、
理由は柱を抱えるように後ろ手に縛られているから。


(…………それに目隠しか……こんなくだらねぇこと考えんのは……)


「お目覚めか〜蛮骨の兄貴ぃ?」


やっぱりコイツだったか。


「おい蛇骨!てめぇ何のつもりだ!!」

「アハハッ、まぁそう怒るなって…ちょっと日常に刺激を与えようと思っただけだよ」

「要らんわんなもん!!」


コイツの考えることで良かったことなんか1度もない!

ましてやこんなアイツ好みの悪趣味な状況……自然と嫌な汗が湧いて出だした。


「……………」

「……………蛇骨?」


急に辺りが静まり返った。


「おい蛇骨………居るんだろ…」

「………………」

「返事しろって!聞こえてんのか!」

「………………」

「蛇骨!!」


だんだんと不安が募って気付けば必死になって怒鳴っていた。


「………ちゃんと聞こえるよ」

「っ!!!」


声が聞こえた瞬間、身体が一瞬びくついた。

右耳に蛇骨の吐息が掛かったからだが、それだけじゃない…。

この声色は知っている…

蛇骨が気に入った男を落として抱く時によく囁く声色…

つまり、俺が掘られる可能性が『大』だと言うこと。


(じょ、冗談じゃねぇ…!!)


かの七人隊の首領蛮骨様ともあろう俺が!
弟分の蛇骨に掘られて堪るかっ!!
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