年齢制限

□オレとお前はハッピーエンドでも巡りあえない
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「大切な人なんて元からあなたじゃない」




そう言われたような気分になった。



オレは力のままにクロームを殴りつけた。
ナイフで斬ったら、はやいけど。



それじゃあ、好きな女の苦痛に歪む姿を見られねぇ。





なんどもなんども殴りつけると、クロームの顔は苦痛に歪みつづけ、いたるところから血があふれ出た。





「おい、まだ終わりじゃねーんだけど」






オレはクロームの前髪をつかむと、ぐったりしているクロームにそう笑いかけた。



いつもと変わらない笑顔で。



クロームはオレの顔を見つめると、そっと言った。




「暴力なんて、愛とはいちばん無縁の存在だと思わないの?」




オレはクロームの前髪をつかんだまま、クロームの身体をコンクリートへと叩きつけた。




こいつの知ったような素振りがいちいち鬱陶しい。
だから殴る。
だから殺す。




オレはどんどん血に染まるコンクリートを見て、嬉しそうに口の端を持ち上げた。





「別に。愛と暴力なんてもん、元から隣あってねぇし、そもそも成立してねぇんだよ」





「・・・暴力も、時によっては自分の愛を伝える行為になるけれど」






クロームはまだ何か伝えようとしていた。




「あなたの行為は愛じゃない。ただの自己満足」




オレはそれだけ聞いて、クロームの頭を強く、コンクリートに打ち付けた。



がくっ、と音をたててクロームの身体が動かなくなる。






こんな暴力が別にオレにとっての愛の形だなんて思ってもねぇ。
ただ、
オレを好きにならない運命ならば、
誰も好きになれない運命に変えてやる




というだけだから。





こんなのは、オレもお前もハッピーエンドなんかじゃない。


そうだろ?




だってオレは悪魔だし。




元からハッピーエンドなんて望んじゃいない。



嗚呼、でも、こういう形の終わり方も



オレにとってはハッピーエンド。






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