復活文
□一生賭けてひとつだけ
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どんなにあの人が好きでも。
どんなに愛していても。
どんなに彼を想っていても。
たぶん私は幸せになれない。
彼は暗殺者だから、おそらく少しの油断で赤く染まった地に倒れ込む。
そんな彼の中に私の存在を埋め込んだって、彼はいつ死ぬかもわからない。
自分の存在で彼が死ぬならば。
それ以上に恐ろしいことはない。
そんなことが起きる確率を計算するよりも。
そんなことが起きてもいいと諦めるよりも。
その前に私が彼の前から姿を消したほうがどう考えても楽。
神が私を生まれつき孤独の運命にさらしたのは
いずれくる今日のためだったのかもしれない。
「嗚呼、貴方のために姿を消す、私をどうか嫌いにはならないでください」
どうかどうか、神様。
私は孤独で構わないから。
彼が私のことを嫌いにならないでください。
そして最後にもう一度。
彼が死ぬときは、どうかどうか孤独じゃなくて笑顔にうずもれて
逝けますように。
「それだけならば、私にも望むことが許されますか」
お願いなんだ、一生賭けてのお願い