harrypotter文
□嘘吐き
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授業に遅れてきた彼を私はじっと見つめていた
「ミスターブラック、遅刻だ」
「あーすいません」
ぺこぺこと頭を下げるシリウスに私は小声で、「ここ空いてるよ」と自分の隣を指した
たぶん彼の親友であるジェームズ・ポッターもこの時間はさぼりなのだろう
教室には彼とよくつるんでいるメンバーの顔はなかった
「また遅刻だったね、シリウス」
「この時間はいつも遅れちまうんだよな」
私は小声でシリウスと話していた
週に一度あるこの時間、人気者で取り巻きも多い彼と話せることはとても楽しかった
「お前は俺が遅れてくる理由聞きたがらないから、楽だよな」
不意にシリウスがそう笑った
「・・・・・・そう?みんなそんなに聞きたがるの?」
私は薄い笑みを浮かべながら彼に問う
「そりゃ聞く聞く。特にワームテール・・・・いやピーターとかすっげー聞いてくんだよな」
彼は目を細めながらそう語る
「・・・・・・じゃあ、いつもシリウスはなんで遅れるの?」
私はいたずらっぽく笑った
シリウスは少しだけ驚いた顔をしながら、また私に笑いかけた
「・・・・お前と話すため、かな」
思っても居なかったその答えに、
私はきょとんとした
「ほら、俺人気だからさ。時間通り行くと、無理矢理、隣とか座らせられるんだよ。でも遅れていけば、お前と隣になれるじゃん?」
反撃、とでも言いたいのか今度はシリウスがいたずらっぽく笑った
「・・・・本気?」
「ほんき」
私が少しだけ顔を赤くさせてると、
授業終了のベルが鳴った
「・・・・・・なーんてな。冗談だよ、冗談」
でも、そう笑った彼は少しだけ顔を赤くさせていて、
「嘘吐き」
と私は笑った
吐いていい嘘、悪い嘘
もう少し早く来れば、もっと長くいられるのに、ね