harrypotter文

□遠すぎた明日
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「セブルス」


そう笑った君の顔を僕はたぶん忘れないだろう



小さいころからの幼馴染で、
一緒にホグワーツに来たグリフィンドールの女の子


彼女はいつも花のような笑顔でその笑顔を周りに振りまいていた



でも、


そんな彼女はもういないんだと、
僕は7年生になった冬、気づき始めていた



僕にだけ見せていた、いたずらっぽい微笑みを僕にではなくポッターに見せるようになりはじめ、
授業の合間などに、「セブルス」と笑いかけていた彼女のかたちは既に無かった



そのころ僕は、
闇の魔術と呼ばれる学問に興味を持ち始め、
彼女と付き合うことがめっきり減ってきていた



そんなある日、
彼女とポッターが付き合うようになったと聞いた




自分に何度も、
彼女が幸せならそれでいいんだ、
と言い聞かせた


けれども、
目頭に溜まる涙がどうしても鬱陶しかった


彼女はこれで幸せになったんだと思いながらも、
彼女を自分が幸せにしてあげたかったという願いが胸に突き刺さった




想い人の幸せが自分自身の幸せだなんて誰が言ったんだろう
ぜんぜんそんなことないじゃないか


僕は自嘲的な笑みをもらして、
ひとり談話室で泣き続けた




「セブルス」


そう笑った彼女の顔を未だに覚えている





ずっとずっと大好きだったんだ
たとえ君が気づかなくても

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