死ノ館


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   〔俺たちが、〕
   〔助けに行きましょう。大好きなあいつらのために〕



「ど、どういう意味だよ、それ!」

 どういう意味か。一言でいうと

「大好きな皆を助けるために」

「・・・さっきも言ったとおり、あの9人は死んだんだ。
死んだ人を生き返らせるなんて不可能。今の進んだ医療を駆使しても。
 なのに貴様は今、救う、なんて言った。
 ・・・全く話が読めない」

 風介が若干イライラしながら言う。
その証拠に前髪をいじり始める。

「そうだよ。
 死んだ奴らを助けるために俺たちが死なないといけないんだよ」

 晴矢は僕を疑うような目をした。

「話が、長くなるけど最後まで聞いて。お願い」

 晴矢と風介が顔を見合わせて口を開こうとしたけど、先手必勝とでも言おうか。その前に僕は喋りだした。



「あの9人は死ノ館というところに居るんだ。
 望んで行ったわけじゃないよ。
 強制的にあそこに連れて行かれたんだ」


「その死ノ館にいる人は、僕にそっくりな人。
 いや、詳しくは人間ではない。死神」


「君達が想像する死神はどんなもの?
 ここの場合、死んだ世界にいる神、とても思ってもらってかまわない」


「死ノ館というのは死んだ人が必ず通るところ。ゲートみたいなところ。
 そこで死神は1人1人の逝く先を冥界か天界かを見極めて送り出している」


「けどね、そこには誰もいないんだ。
 死んだ人を留めておくのはいけないことなんだ。
 禁忌、とでも言っておこう」


「心を求めすぎた死神は禁忌を犯そうとした。
 あの9人を殺した」


「そしてこんなことを言い出した。
 〔僕が君たちを殺した。
  生き返らせて欲しいなら、一緒に遊ぼう。
  迷路から脱出できたなら、ここから出して、生き返らせてあげるよ〕とね。
 けど、その死神は愚かだった。ルールを理解していないのか、あえて理解していないのかわからないけど。・・・出口を作っていなかったんだ」


「相手が卑怯な手を使うなら、僕も卑怯な手を使っていいと思うでしょ?
 だから、僕は死ノ館にいって出口をこじ開ける」


「・・・けど、1人じゃ力が足りない。どうしても死神に対抗できない。
 だから、僕は2人に白羽の矢を立てた」


「どうか、僕に協力して欲しい!」

 手を差し出した。2人に。
 ・・・どうか、この手を握ってくれますように。

「当たり前だ。いつかあのポニテを切り落とすのが夢だったからな」

「あいつ等をいつかコテンパンに叩きのめさないと気がすまないね。ぽっくり逝かれては困るよ」

 2人の手はあたたかかった。
 実感したら、涙が止まらなかった。
ありがとうありがとう。と泣きながら2人に抱きついた。

「さあ、はやく助けに行こうよ」

「どうすればいいんだ?死に方、どうするか?」


「・・・大丈夫。5秒。5秒だけでも目を瞑って。そうしたら、死んでるはずだから」

 大丈夫、死んでるよ、と付け加えると2人は素直に目を瞑る。


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「・・・目を、開けても、いいよ」







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