夢の稲妻

□向こう側からの視線
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『まじやばい。
 まじでイケメンだわ。どうしよ』


 ただいま、アニメ鑑賞中。
 タイトルは、イナズマイレブン。

 最初はただの暇つぶし程度に見ていたアニメがこうも待ち遠しくて大好きになっていたのには、もちろん訳がある。

 
 恋をしたのだ。

 そう、アニメの中のキャラ・・・いや男性に恋をしたのだ。

『源田君・・・』

 彼の名前は源田幸次郎君。
またの名を源王。
そのまたの名をKOG。

 頬にあるフェイスペイント。
切れ長の目。
鍛え上げられた体。
彼のワイルドさを引き立てる流れる髪。
そして、低く心のそこまで響き渡る声。

 全てに私は惹かれた。魅せられた。


 しかーし!!

 源田君はアニメにあまり出ない。
つか、かませ役である。
最後に出たのがネオジャパン戦である。
緑川君みたいに手紙を佐久間君くらいにかいたと思うのに、そこでも出てこなかった。


 ああ源田君、私は君に恋をしています。
 お願いだから。本当にお願いだから。

 
 厚い液晶なんて、次元の壁なんて越えて逢いたい。

 お願いします、神様。


 そうやって私は眠りについた。



 * *

 
 違和感を感じた。

 朝起きたらとてもベッドを小さく感じれた。
 目を開けてみると、誰かがベットに入っていた。

『ちょいちょいちょいちょいちょい!!!
 誰よあんた!!変態!!痴漢!!警察!!お母さん!!!』

 人が居たのだ。しかも男。しかも同年代。しかも知らない人。

 しかも、マジでイケメン。


「・・・ふぁあ。眠い」

『・・・誰ですかあなた』

「オレ?」

『ええ』

「KOG」

『外国人ですか?日本人ですよね、日本語を喋ってください』

「・・・げ・・・じろ・・・」

『もっと大きい声で・・・』



「・・・源田幸次郎」



 私はふらふらと再びベッドにもぐった。



* *

 
 『あの』

「なんだ」

『その』

「だから、なんだ」

『あなた誰?』

「だから、源田幸次郎」

『・・・マジで?』

「ああ。マジでだ」

 彼を見ると、確かに私が恋をしている源田君そのものだった。
髪の毛、目、顔、体格、声。
 何もかもが一緒だった。

 けどしかし。
 源田君は2次元の人であり、3次元の人間ではない。

 ・・・と、いうことは。

『夢?』

「ん?夢?」

『ええ。きっと私は夢を見ているんですよ、ええ。さっさと私の頬をつねってくれませんか』

「なんでだ?」

『早く目を覚まさないといけません』

「・・・」

『早く、つねってください』

 うぎぎ。
 声が漏れた。痛かった。源田君は容赦をしなかった。

『・・・あれ、起きてる』

「ああ。夢じゃない」

『はい?じゃあなんで源田君がここに』


「逢いに来た」

「お前に」


「ずっとオレを見ていただろ?知っている。感じ取っている」





「俺も、ずっと見ていた。好きだ、お前が」





 まだ、私は夢の中に居るようです。








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