そして私は唄う

□人気者
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「話って・・・?」

スタッフ用の部屋に通された。

司さんは、この前のバーだけでなく、ここの管理者でもあるらしい。

「率直に言う。うちの会社から歌手としてデビューしないか。」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


いや無理でしょ、それ。


てかなんでいきなり?

うちの会社?

司さんって芸能プロダクションまでやってるの??

「スカイミュージック、という会社は知らないか?」

大手の会社・・・

「知ってます、けど・・・。」

「俺の会社ではなくて、正式に言うと俺のおじの会社なんだが。俺の仕事は主にスカウトだ。」

「はぁ・・・。」

「君なら売れると思うんだ。どうだ?」

「私、そういうのに興味な・・・」

隠居してる両親のこととか、バレたらまずいし。

「君の事はいろいろと調べさせてもらったよ。」

「え?」

「ピアニスト、結城 悟とソプラノ歌手、結城 美緒里の一人娘。聖都高校1年生。幼いころから英才教育を受けていたらしいな。」

「!」

なんでそこまで・・・。

「結城夫妻には子供がいない、というか結城 美緒里の方が子供を産めない体という噂があったが・・・」

そうだよ。なのになんで・・・?

「その噂はどうやら少し違うようだな。子供を産めないというのは本当だが、子供はいる。・・・君は貰われた子だったんだね。」

「なんで、知って・・・」

「情報源は、ちょっと教えられないけど。・・・この前の歌も、今日の歌も素晴らしかった。君には才能があると思うんだ。このままじゃ勿体無いよ。」

「・・・・・・」

「君の両親の許可は取ってある。喜んでOKしてくれた。」

「なっ・・・」

「無理にとは言わない。でも考えてみるだけ考えてみてくれ。・・・遅くなった、名刺だ。」

「分かりました・・・・・・。」

・・・。

なんか、どっと疲れた・・・。

「結城、遅かったな。なんの話だった?」

「・・・とんでもない話。」

「は?」

「話したくない。帰ろう。」

センパイはずっと?って顔してたけど、こればっかりはどうしようもないよね。

そして家に着くと、すでに両親は寝ていたので、すぐにお風呂に入って眠った。

なかなか、寝付けなかったのだけれど。

*
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