そして私は唄う
□放課後の音楽室
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「♫♪♫♪♫♪〜・・・」
私はここ最近、放課後音楽室に残ってピアノ+歌の練習をしている。もちろん一人で。
同じ曲ばかりをやってるのもつまらなくなってきたので、私は思うままに自分の好きな歌をやり始めた。
人がいるのにも気付かずに。
「愛したのは〜・・・?!」
「おっやっと気付いたか。」
そこに立つは見知らぬ美少年。
「どちら様で・・・?」
「2年の神埼 蒼。君は?」
2年か。どおりで。背が高いな、と思った。
「1年の・・・結城です。」
「うーん・・・・・・」
「??なんですかっ?」
「・・・いやね。君、すごく歌もピアノも巧いからさ、ぜひ俺のバンドでヴォーカルを・・・と思ったんだけど、でもやっぱりキーボードも捨て難くて・・・。」
はあ?!
「・・・お言葉ですが、私どちらもやる気は・・・・・・。」
「えぇっなんで?それはもったいなさすぎるだろ・・・。」
「・・・目立ちたくないですもん。」
「・・・まぁそんな感じはするわな。じゃあなんでピアノ伴奏になったの?」
「ほんとは私じゃなかったんですけど・・・伴奏の子が、手首怪我しちゃって。それで仕方なく・・・。」
「お人好しっぽいもんね。なんか図書委員やってそうな。」
「現役図書委員ですから。」
ガチで。
「ははっマジか。じゃあ、俺帰るわ。諦めてねーからな。」
「え゛っ・・・」
困ったな・・・。
バンドとかしたら、すっごい目立っちゃうもんね。
絶対嫌だよ。
これからは、人のいないところで練習しないと・・・・・・。
そう心に決めた私であった。
*