男として

□過去
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私は生まれて1年経ったとき、親に捨てられた。

孤児院の前に、置手紙と共に。

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ごめんなさい、未依。
あなたは日本とアメリカのハーフです。
日本人のお父さんは、誰だか分からないまま産んでしまったの。
あなたは誰にも認めてもらえなかった。
もう我慢できないの。

あなたは、もう、イラナイの。

本当に、ごめんなさい。

母より

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残酷な、手紙だった。

私はその手紙を、4歳のときに渡された。
意味の分からないまま読んだけれど、嫌悪感を覚えたのだけは分かった。

私は金髪に碧眼というめずらしい容姿だったから、施設ではいじめられた。

殴る蹴るは当たり前。

言葉の暴力盛りだくさん。

精神的に病んでいて、まだ12歳という幼い年齢でリストカットを始めていた。

そんな私を救ってくれたのが今のお父さん。

妻を亡くして一人だったアメリカ人のお父さん―――結城 悟が、私を引き取ってくれた。

・・・リストカットはまだ、続いているけれど。

中毒性があるから、やめられないんだ。

私がリストカットをしている理由?

そんなの簡単。

自分が大っ嫌いだからよ。

*

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