蒼空の風詩
□蒼空の風詩
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陽が沈む。
私はそれを、ぼぅっと眺めている。
屋上のフェンスに腰掛けて、時折落ちそうになりながら。
でも今日も落ちることなく、いつものように陽は沈み、私は屋上を後にした。
自宅という名のついたマンションに、今日は帰る気がしなくて、家までの道のりをいつもより時間をかけて歩いた。
それでもやがて家には着いてしまう。
私はふぅ、と溜息を吐くと、エレベーターに乗り込み、最上階−−50階のボタンを押した。
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私の名前は羽月 凛。
高校2年生。
両親と兄は、私に最上階のこのマンションの一室を買い与えて、そのまま私を放置している。
放置プレイだ。
与えられた通帳には、毎月決まった莫大な額のお金が振込まれる。
私はそれを使うのを毛嫌いするけれど、生活していくには仕方がない。私は最低限のお金だけ使って、他は全部そのままにしてる。
バイトすることは考えなかった。
だってそんなの、面倒くさい。
私はいつもより大分早い晩御飯を採った後、暫くして眠りについた。
眠りについたのは24時。
起きたのはいつも通りの3時だった。