白夜の月
□失踪
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愁Side
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桜の奴・・・
俺にも連絡なしでいなくなるなんて・・・
何考えてやがる。
まさか、死のうとなんかしてねぇよな?
早く、早く帰って来い―――――・・・。
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結局私は、家を引っ越すことに決めた。
今まで住んでいた家とは程遠い場所にある。高級マンション。
セキュリティ万全だから、多分大丈夫。
バレない、はず。
なのに。
「こんなところにいやがったか・・・」
夕食を買いに出かけようとした時だった。
玲央さん、が。
現れた。
「家に行ったら引越ししました≠チて・・・なんでそこまでして逃げんだよ。」
「っそっちこそ!なんでこんなところまで追いかけてくるの・・・」
「お前が、桜が心配だからに決まってるだろ!」
即答だった。
「放っといてよ!私は1人で十分なの・・・仲間なんて要らない。誰にも迷惑を掛けたくないの―――・・・」
「っつ、」
「玲央、桜さん。一度龍桜の倉庫に戻って、そこでゆっくりお話しませんか。」
・・・千華さん。
私達は倉庫へ向かった。
もう、行かないと思っていた倉庫に。
倉庫に着くと、千華さんが紅茶を淹れてくれた。
「少しは、落ち着いたか。」
「ん・・・・・・」
「学校で、桜のこと虐めてた奴等に吐かせたよ。俺がいない間に、またやったんだってな。」
「っ!」
「なんで、黙ってたんだ?言ってくれたら、いつでも助けたのに。」
「貴方に助けてもらうことは、できない。」
私はゆっくりと話し始めた。
玲央さんが知ってしまったなら、私も話していいわよね。
「このことは言うなって言われたけど、もう聞いたんなら、言う。私は、貴方達にとって迷惑にしかならないのよ。私みたいな一般人は、黙って虐められてればいいの。」
そこで、玲央さんは怒ってテーブルをドンッと殴った。
でもこんなので、私は別にビビらない。
「なんでそんな風に自分を卑下する?俺達は同じ人間だぞ?」
「じゃあ言わせてもらうけど、おんなじ人間って言ったって、レベルが違うじゃない!貴方は龍桜の総長、私は普通の女子高生!」
ここまで言って、息が辛くなった。
「そうだけど。俺はお前を一人の同じ人間としてみているよ。」
はぁ。
力が抜けた。
もぅ、どうでもいいや。
「もういい。もういいや。」
「何がいいんだよ。」
ふるふると首を左右に振った。
涙が溢れてくる。
「おいっなんで泣くっ・・・」
なんで分かってくれないかな。
背中を擦られる。
そんなことされると、余計に泣けてくるよ。
「ふぇっ・・・だってっ・・・ぅっくっ・・・」
それから、私はずっと泣き続けて、知らぬ間に玲央さんの腕の中で眠ってしまっていたらしかった。
気付くと、もう朝だった。
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