白夜の月

□龍桜での日々
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「学校の奴等には伝達しておくから。後、朝は家まで迎えに行く。帰りも。・・・放課後はここへ来いよな。」


えぇーっと・・・いっぺんに言われて何がなんだか・・・


「伝達・・・って?あと、迎えとかそんなの・・・いらないよ。それに、私がこんなとこ入っていいの?」


「俺の女だから当たり前だ。もっと人に頼れ。伝達・・・は、まぁ後々分かるだろ。」


「ん・・・なんとなく、分かった。」


なんとなく、だけどね。


「ここにいる奴等は皆いい奴だから。仲間、作ればいいよ。」


「・・・・・・」


仲間、か。


考えたこともなかったな。


別に私は一人でいいと思っていたから。


でも


本城さんは、守ってくれるといった。


私はそれに甘えていいのだろうか。


まだ一歩、踏み出せずにいる。


「とりあえず今日は初日だし、送るよ。」


「え・・・送らなくても・・・」


「送迎するっつったろ?それに道分かんねぇだろうが。」


「・・・」


道は、分かる。


一度か二度、愁ちゃんに連れられてきたことは会ったから。


「行くぞ。」


「うん、・・・?」


私のことをじっと見ている年長そうな男の人が。


「どうした、和宏。」


この人は和宏というのか。なんか似た人を見たことがあるようなって・・・え・・・


「桜さんっすよね。」


「和宏さん・・・。」


この人、愁ちゃんの代からいた人だ。


まだ、いたんだ。


「今は運転手やってるんすよ。」


「そうなんだ。まだいるとは思ってなくて。びっくり。」


「なんだお前ら知り合いか・・・まぁそうだな、秋月繋がりか。」


「うん。」


「じゃあ、2人共、送っていきますんで!」


「頼むよ。」


それから私達は黒塗りの高級感溢れる車に乗った。


私の家分かるのか・・・と思ったけれど、それは一瞬で掻き消された。


和宏さんが、知ってるんだ。


送ってもらったこと、(そのときは単車だったけど)あったし。


その日は、なんだかよく分かんないけどどきどきっていうかわくわくっていうか、して、あんまり眠れなかった。


*
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