時は進む。止まることはない。戻ることはない。ただただ、時は進むだけ。







時の流れと共に薄れていく記憶。あの時に抱いた悲しみも、失意による絶望も、時の流れに比例して不鮮明になっていく。









共に見出だした喜びも。

すれ違い、怒りを抱いた原因も。

あれほど哀しかった瞬間も。

貴方と過ごし、楽しかった思い出も。






一年が経ち、二年が経ち……十年の月日が流れると、どの記憶もセピア色の情景に滲んでいくように儚くて、寂しくて。





全てが無に還ってしまうようで、苦しいんです。












ねぇ。
貴方は、こんな俺を許してくれますか?







貴方の名前も笑顔も仕草も温もりも忘れてしまいそうになっている俺を、どう思いますか?







貴方を霞ませ、違う人と幸せを掴もうとしている俺を見たら、貴方は怒りますか? それとも、笑って祝福してくれますか?









未だ貴方を繋ぎ止めようとして、貰った指輪を捨てられなくて、同じ指で褪せず輝く事実に、貴方は呆れるんでしょうか?







「―――――」









呟いた名前すら、いつか完全に忘れ去ってしまう時が訪れるんだろうか…。













――――
愛したアノヒトの名前さえ、
ナイトメア/Lost in Blue

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