進撃の巨人

□Mein Licht
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自分のことは自分で。


それがこの家の教訓だと前々からこの主は口煩く言い聞かせていたという。



「上の娘は頭が良いから、早々に恋人と一緒に屋敷を出て行った。…末の娘も、この屋敷から出してやりたいんだが…」



主は困ったようにため息を吐く。

その向かい側に座る男は、静かに出されたお茶をすする。



「末の娘は美しく、気使いが上手い。…だから余計に傲慢に生きる貴族の妻になどしたくないのだが、手っ取り早く屋敷から出してやるにはもう嫁がせる方法しか残っていない…」



しかし何か別の方法で屋敷から出してやりたい。

どうやらそれがこの主の願望のようだった。


手にしていたカップをソーサーへ起き、男は口の端を上げた。



「それでしたら、私に良い考えがありますよ。」






   ***






調査兵団本部。


変人が集うと噂されるこの調査兵団の団長ことエルヴィンが、満足そうな表情で廊下を歩いていた。

その後ろには小さな影が一つ、音も立てずに着いてきている。



「ここが調査兵団本部だ。君には、ここで兵士達の身の回りの世話を頼みたい」

「はい」



か細い、それでいて透明感のある小さな声が聞こえエルヴィンは小さく笑う。



「そんなに固くならなくていい。皆良いヤツらだ」

「…はい。お気遣い痛み入ります」



後ろの少女が肩の力を抜いたのがわかり、エルヴィンは振り返る。


緩いウェーブのかかった長い髪を後ろでまとめ、質素なスカートとエプロンをまとった少女は、エルヴィンと目が合うと静かに微笑んだ。

それに微笑みを返し、廊下の窓からそっと外を見据えた。

そのずっと先には人類を守る壁が見えた。






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