君はMorpho

□君はMorpho.\
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「リオ、先ほどの言葉は例えおまえでも許せん。」

「―――忘れてしまったんですか?」



うつむいたリオが呟くように言った。



忘れる?


何を?



リオの言っている意味がわからなくて、俺は怪訝とした表情でリオを見る。


やがてリオはゆっくりと顔を上げた。



「テニスにおいて、勝敗に勝るものは…気持ちです。」



リオはこちらを真っ直ぐ見つめながら、泣いていた。



「今、どんな気持ちでテニスをしているんですか?」



泣いて震えつつあるリオの声は、俺にははっきりと聞こえた。






   ***






会場の都合上、全国大会決勝戦は3日後に延びた。


正式に退部届を書いたリオは、それを部室の幸村のロッカーに入れた。



『全国大会では必ず優勝しなくてはならない』

『勝つことに意味があるんだ』



昨日の幸村の言葉が、頭の中で谺する。


アメリカへ発つ前、幸村と交わした会話を思い出せば自然と涙が零れる。



あの優しい目をしていた幸村が、とても冷たい目をしてコートを見ていた。


その理由はおそらく…。







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